演題抄録

若手臨床腫瘍医のための技術ワークショップ

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

次世代シーケンサーを利用したがん関連遺伝子変異解析:静岡センターでの経験

演題番号 : TW2-5

[筆頭演者]
洪 泰浩:1 

1:静岡がんセ研究所 新規薬剤開発・評価研究部

 

 がん診療における個別化医療推進のためには、個々の患者における遺伝子変異を明らかにし、それに基づく最適な治療選択を行うことが重要である。また薬剤開発における成功率の向上および承認の迅速化のためにも、個々の患者における標的分子の遺伝子変異情報は欠かせない。 次世代シーケンシング技術はこれまで主にゲノム研究の分野にて利用されてきたが、近年コストが大きく下がってきたために、ようやく臨床現場における診断ツールとして利用できる環境が整ってきたと言える。次世代シーケンシングの利点としては、現在は異なるプラットフォームを用いて測定を行っている、遺伝子変異、ゲノムコピー数解析、染色体転座といった臨床的に重要な遺伝子異常のすべてを単一プラットフォームにて検出することが可能となる点が挙げられる。また、そのハイスループットで高感度であるという特性が現在のがん診療におけるニーズに合致していることも挙げられる。 静岡がんセンターでは、肺がんにおけるドライバー変異の検出を実施し、各変異の頻度を明らかにするとともに、その結果を臨床情報として活用する取り組みを2011年7月より開始した。2011年7月から2013年3月までに肺癌1029症例(肺腺癌, 625; 扁平上皮癌, 173; 小細胞肺癌, 101; 大細胞がん, 15; 多形癌, 7; その他, 108)より同意を得て、主にパイロシーケンス法にて9遺伝子における23のドライバー変異検出を行い、加えて代表的遺伝子増幅および融合遺伝子の検出を行ってきた。現在は、さらなる網羅的変異検出およびハイスループット化の実現のため、イルミナ社の次世代シーケンサーであるMiSeqを用いて、遺伝子変異パネルであるTruSeq Amplicon Cancer Panelによる変異解析を実施している。また、本プラットフォームによる多施設共同での遺伝子変異データの蓄積や他がん腫における遺伝子変異解析を実施している。本ワークショップにおいては、当センターでのこれまでの解析結果や経験について紹介したい。 個別化がん医療の推進において、次世代シーケンサーによる遺伝子変異解析の実地臨床への導入意義は極めて大きいが、課題も残る。遺伝子変異測定における信頼性の向上(特にFFPE検体)およびインフォマティクスの確立、そして、臨床シーケンシングのためのQA/QC体制の整備等が挙げられる。

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