演題抄録

若手臨床腫瘍医のための技術ワークショップ

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

重粒子線治療の医療経済学的な検討

演題番号 : TW1-3

[筆頭演者]
山田 滋:1 
[共同演者]
辻 比呂志:1、鎌田 正:1、辻井 博彦:1、大野 達也:2、中野 隆史:2、岡田 直美:3

1:放射線医学総合研究所重粒子医科学セ病、2:群馬大重粒子線医学研究セ、3:東京共済病院

 

全人口動態調査によると、2011年にがんによる死亡数は約35万7千人であり、総死亡の3分の1近くを占めている。それにつれて、がんに対する医療費は2010年で3兆円と各疾病の中で最も高額である。一方放射線治療患者数は2009年には約20万人であり、がん患者の3人に1人は放射線治療を受けていることになる。しかし、欧米ではがん患者の3分の2が放射線治療を受けていることを考慮すると今後も大きく増加するものと予測される。最近では技術の進歩により高い治療効果が認められる高精度放射線治療が普及している。中でも我が国では、粒子線治療施設の普及が顕著で、全国で14箇所(重粒子線4箇所、陽子線9箇所、兼用1箇所)あり、うち稼働中9箇所、建設中5箇所である。建設費は高額であり、今後も施設数が増加することが予測されることから、医療経済学的な検討することが必要となってくる。そのためには、対象となる治療法の費用対効果分析を行うことが重要である。がん治療の効果を測る尺度はいろいろ存在するが、無再発生存期間の延長が最も理想的である。ただ、進行がんの多くは転移・再発するため全生存期間で評価することも多い。我々は、同時期に治療した直腸癌術後骨盤内局所再発に対するX線治療症例11例と重粒子線治療症例14例について2年間の治療費総額(照射費用、入院費用、薬剤、検査費用等)を検討した。2年間の総治療費はX線治療症例では平均461万円(含む照射費用44万円)、それに対し重粒子線治療症例では480万円(照射費用314万円)で重粒子線治療の方が19万円高い結果であった。X線治療は25-29回照射と長く、さらに抗癌剤と併用することが多いため長期入院が必要であるが、重粒子線治療は16回照射と短く、しかも抗癌剤剤を併用する必要がないため外来で治療することが可能であるため入院費に関してはX線治療の方が約3倍高い傾向であった。しかし、2年生存率はX線治療症例で55%、重粒子線治療症例で85%でした。これより1%生存率を上げる費用が約6千円であった。 がん治療の進歩によって生存を延長できる選択肢が増えてきている現状で、重粒子線治療の費用対効果を評価し、施設を普及する上で不可欠であると考えられた。さらに生活の質に関する評価を生存年数に組み込み治療効果を判定し費用対効果を検討したので紹介する。

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