演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

大規模臨床試験におけるEDC(Electronic Data Capture)の活用と問題点

演題番号 : S9-3

[筆頭演者]
中島 みな子:1 

1:(公財)がん集学的治療研究財団

 

 臨床研究において質の担保は絶対条件であるが,日々新たな研究成果の情報がインターネットを通じてもたらされるようになった現在においては,試験遂行に要するスピードも極めて重要になってきている。殊に,1000例を超えるような大規模臨床試験ではいかに早く症例を集積し,正確なデータを収集し,迅速かつ適切な解析を行うことが臨床試験を成功に導くためのキーポイントとなる。近年,主に治験領域においてスピードアップや効率化を目指してEDCが導入され,最近は市販後臨床研究においても活用されるようになってきている。 (公財)がん集学的治療研究財団では1985年より医師主導の自主的臨床試験を計47本実施してきている。2005年以降,集積症例数が1000例前後の臨床試験が増加し,現在までに大規模臨床試験を7本施行している。当初は従来の紙ベースの症例報告書(CRF)によってデータを収集しており 作業量増加に対してはマンパワーで対応してきた。 2011年から(JFMC41以降)は積極的にEDCを導入し,作業の効率化,研究のスピードアップに努めている。 EDCの有用性は症例登録段階において明らかであり,予定の集積期間を大幅に短縮して目標症例数を達成することも可能となってきている。登録は24時間可能で,グローバル試験であっても集積状況を随時世界中のどこからでも確認できる。EDCでは,医療機関におけるデータ入力時に既にロジカルチェックがかけられているため、データの質の向上に繋がっている。さらに事務局(データセンター)では,紙ベースのCRF送受やデータ入力が省力化され,データクリーニングに専念することができる。その結果、データ収集効率が向上するとともに,紙ベースのCRFの保管スペースも削減できる。ただし,クエリー発生時の問合せ・回答については,項目ごとのコメント入力や担当者の署名が必要となる等EDC特有の問題点も明らかになってきた。また,がん領域の臨床研究では生存期間(OS)や無再発生存期間(RFS)などの追跡調査が必須となっている研究も多く,転院や患者都合により来院しなくなった場合の追跡調査などにEDCによって対応できる範囲は限定的であり今後の検討課題となっている。 本シンポジウムでは,これらEDCの実務経験から得られたその利点と問題点を列記・整理し,今後の課題を明確にし,円滑かつ迅速な臨床研究のために行うべきデータマネージメントにおけるEDCの活用の意義について報告を行う。

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