演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

追跡調査における問題点と試験の質を高めるために必要なデータセンターの対処について

演題番号 : S9-2

[筆頭演者]
宮下 由美:1 

1:NPO法人疫学臨床試験研究支援機構 愛知支部

 

近年、癌を対象とした医師主導型臨床試験の8割以上において、Primaryおよびsecondary endpointとして生存期間(OS)が用いられている。特にMega Studyと分類される集積症例数が数百から千を超える臨床試験は参加登録施設数が必然的に多くなる。疫学臨床試験研究支援機構(ECRIN)においてデータセンターを担当し、このようなMega Studyを体験したことにより、様々な問題点や今後の課題等が浮き彫りになった。当データセンターが最初に行ったMega Studyは目標症例数1500例、症例登録施設数230のrandomized Phase III Studyであった。登録から3年間の追跡期間が予定された試験であったが、諸般の事情により登録機関が2年延長され、2009年に最終症例が登録された。症例登録期間が5年になったため、最終症例登録前に初期から中期登録症例では追跡期間を終了していることとなった。その間3回ほどの中間解析を行い、治癒切除胃癌に対する術後補助化学療法のevidenceを示すことができた。ただし、追跡期間が延長した初期から中期に登録された症例に関しては数々の問題点が発生した。1.登録施設の多くが国公立病院であったため、その間の人事異動などにより担当医師の変更が頻回に行われたことが問題となった。医師の移動が起こると分担医師・責任医師などからの連絡が途切れることが多く、CRFの督促を行う段階では診療を引き継いだ現在の患者担当医師が臨床試験参加の意義や報告の重要性を理解されていないケースが散見された。この現象はCRFの督促を試みても、どの部署のどの医師が当該患者の担当となっているかすらも不明となってしまい、追跡データの集積が困難になってしまうことを引き起こした。2.患者が転院し、その後紹介機関が不明となって追跡不能となったこと、3.医師の退職により登録医師との連絡が取られなくなったケースなど、追跡データの質を確保するうえで様々な困難が発生した。これらは、参加施設における医師主導型臨床試験への理解とコンセンサスが不十分であること、当該施設に治験事務局が設置されていても、医師主導型臨床試験への協力が得られないことや、登録医師が試験プロトコール内容を完全に把握されておらず、症例追跡の重要度に対する関心が低かったことなどに起因している。これら登録症例の追跡にあたってのデータセンターが行った対応や、最終的にCRF回収率を95%にまで引き上げるために行ったノウハウについて報告を行う。

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