演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

JSCO・JSMOにおける「がん研究における利益相反指針」

演題番号 : S7-3

[筆頭演者]
仲田 文造:1 

1:市立柏原病院 外科

 

日本癌治療学会(JSCO)と日本臨床腫瘍学会(JSMO)が合同で「臨床研究」に係わる利益相反指針を策定することで合意したことを受けて、両学会の担当委員が東京に集まり第1回の作業部会を開いたのが2006年6月のことであった。当初、ASCOのCOI policyを翻訳し、これを一部改修して両学会の利益相反指針とする案も出された。しかし、こうした場合には、オリジナリティがASCOにあることを、われわれの指針に明記することが求められた。このことは、本邦で初となる学会策定の利益相反指針として相応しいことではないと考えられた。なにより、本邦と米国では臨床研究を遂行する上で産学連携のやり方が異なる部分も多く、本邦の社会環境に合った独自の指針を策定する必要性があった。指針策定にあたっての理念は(1)産学連携による臨床研究を推進することが目的であって、規制するためのものではない(2)遵守するべきものを明確に示して、これを守ることにより会員と学会を保護する(3)本邦の全ての学会に適用してもらえるような普遍性を持たせる(4)実行可能なものを策定する、ということであった。指針は両学会で合同会議を重ね、文言の一つ一つに至るまで慎重な討論がなされた。特に議論されたものとして(1)利益相反申告の対象者に配偶者や親族までいれるべきなのか(2)個人情報との兼ね合いが難しいが、利益相反は学会内に「開示」するだけでなく、一般にも「公開」すべきではないのか(3)組織に入る奨学寄付金まで個人の利益相反としなければならないのか、などが挙げられる。指針案は2006年12月におよその完成をみて、その後3ヶ月間の間、両学会のホームページ上で公開し、パブリックコメントを求めた。寄せられた質問に対してはQ & A集の中に組み込んで回答し、これを公開することで、実際の運用にあたって混乱がないようにした。指針は1年の周知期間をおいて2008年4月より施行された。施行後に明らかになった問題点は(1)申告期間の区切りを税金申告時の3月末にできないか(2)申告すべき項目にすっきりと割り切れない報酬はどうするのか(3)申告された金額でどの程度なら強い利益相反とするのか、などであった。なお、社会の利益相反に対する関心が本邦でも高まった背景により、2013年4月からは基礎研究にまで利益相反の申告をするように改訂を行った。

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