演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

臨床研究における倫理原則

演題番号 : S7-1

[筆頭演者]
藤原 康弘:1 

1:国立がん研究センター 企画戦略局

 

米国のBelmont Report(研究対象者保護のための倫理原則および指針)によれば、一般診療とは、もっぱら、ある患者もしくは受診者個人の福利を高めるためだけに考案され、それなりに成功が見込める介入行為を意味し、医学的あるいは行動学的な診療行為の目的は、診断、予防的処置、または治療を、特定の個人に与えることと定義されている。一方、研究とは、仮説を検証し、結論を導き出すことを可能とし、それによって、一般化可能な知識を開発したり、そのような知識に貢献したりするように考案された活動を意味すると定義されている。さらに、画期的に新しい方法は、安全かつ有効かどうかを明らかにするため、早い段階で正式な研究の対象とされるべきであると示されている。我々は、一般診療と研究の区別を常に念頭に置きながら、がんの診療に従事する必要がある。医療倫理については、1979年、米国のBeauchamp TとChildress Jにより生物医学・医療倫理の4原則が提唱された(自律尊重:自律的な患者の意思決定を尊重せよ、無危害:患者に危害を及ぼすのを避けよ、善行:患者に最大限の利益をもたらせ、および正義・公正:利益とリスク・費用を公平に配分せよ)ことが、現在医療の金字塔である。これらの4原則を考慮し、場当たり的な対応(常に例外を許容する)を回避し、何が患者の利益に適うのかを医師のみが判断せず、患者の自律を重視した研究の実践を心がけるべきである。  なお、この4原則さらにはヘルシンキ宣言を基本として、我が国では「臨床研究に関する倫理指針」 (抄録作成の7月時点では厚生労働省・文部科学省合同の委員会で「疫学研究に関する倫理指針」との一体化の方向で改訂の議論が進んでおり、秋には改訂版が発出される予定)が臨床研究における倫理原則を規定しているため、講演においてはこの改訂のポイントも紹介する。さらに、昨今の臨床研究を巡る利益相反に関しての研究者や医療機関の認識の甘さを踏まえ、当該問題についても考察しつつ、倫理審査委員会に求められている審査の必須要素であるscientific review、ethical review、financial conflict interest reviewの3点の再確認をシンポジウムでは行いたい。

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