演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

Treg制御薬としてのCCR4抗体(mogamulizumab)

演題番号 : S5-5

[筆頭演者]
石田 高司:1 

1:名古屋市立大学 大学院医学研究科 腫瘍・免疫内科学

 

世界に先駆け日本で薬品製造販売承認を取得した抗体医薬品であるヒト化CCR4抗体(KW-0761、mogamulizumab)は、CCR4陽性ATL細胞を強力に殺傷する。加えて本剤はCCR4陽性の制御性T細胞 (Treg)を除去する。近年、腫瘍組織に浸潤しているリンパ球 (TIL:Tumor infiltrating lymphocyte) 中のTregの存在は、腫瘍細胞を宿主の免疫応答から回避させるだけでなく、がんワクチンなどのがん免疫療法が未だ十分な効果をあげられない一因とも考えられており、このTregの制御はがん免疫療法が克服すべき大きな課題と考えられている。宿主内で腫瘍のいわば兵隊として、腫瘍を宿主の免疫機構から防御しているCCR4陽性Tregを除去できれば、これらの疾患に対しより効率のよい治療になり得ることは自明の理である。筆者らは、このモガムリズマブによる抗腫瘍免疫賦活作用に着目し、広く固形がんを対象として本剤の治験を開始している(UMIN000010050)。一方本剤によるTreg除去は重篤な免疫関連の有害事象を惹起する危険をはらんでいる。本剤の第II相試験では高頻度に皮膚障害を認め、一部は重症化した。さらに発売後、わずか約4月間で9件の重篤な皮膚障害が報告されており、うち4例がスティーブンス・ジョンソン症候群/中毒性表皮壊死症と診断され、死亡を1例に認めた。さらには本剤との関連が示唆されるB型肝炎ウイルスの再活性化も報告されており、本剤のヒト免疫システムへの影響は極めて複雑と推察される。過去に人類はTreg を選択的に除去する薬剤を有した経験がない。人類初の「Treg除去薬、mogamulizumab」の臨床導入にあたり、我々日本の医療従事者および医学研究者は、最善・最良な使用方法を確立する責務を有する。mogamulizumabはATLの診療体系を大きく改善せしめる可能性を有している。モガムリズマブが日本で適切に育薬され、日本のみならず世界中のATL患者、CCR4陽性T細胞リンパ腫患者、そして多くの固形がん患者に福音をもたらす日の到来が期待される。

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