演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

術前治療後のpN(+)食道癌に対する術後アジュバントペプチドワクチン第II相試験

演題番号 : S5-4

[筆頭演者]
安田 卓司:1 
[共同演者]
錦 耕平:1、吉田 浩二:2、角田 卓也:2、新海 政幸:1、安田 篤:1、白石 治:1、岩間 密:1、牧野 知紀:1、中村 祐輔:3、奥野 清隆:1

1:近畿大医外科、2:東京大学医研、3:シカゴ大内科

 

【はじめに】本研究は、新規腫瘍特異的抗原:URLC10、CDCA1、KOC1由来のペプチドを用いた術前治療後pN(+)例に対する術後アジュバント療法の有用性と安全性を検証する第二相臨床試験である。【背景】現在我が国では、cT4症例にはdownstagingを目的に術前化学放射線療法、切除可能StageII/III食道癌に対してはJCOG9907の結果を受けて術前化学療法と、術前治療が積極的に行われている。しかし、pN(+)、特にpN2以上(pN個数≧3)の症例は早期かつ高頻度に遠隔転移をきたし、3生率は3割に満たない。全身の微小癌細胞の存在が示唆されるが、癌ワクチンはFDAのガイダンスにおいてもこの微小癌細胞を対象としたアジュバント療法に適しているとされている。一方、URLC10、CDCA1、KOC1由来ペプチドワクチン療法は、各々の第I相試験でその安全性は確認され、有効例も認められている。【対象と方法】術前治療後に根治切除された食道扁平上皮癌症例の内、pN(+)症例を対象とした。HLAのタイピングを行い、HLA-A2402陽性例にのみワクチンを投与、陰性例は対照群とし、全例ワクチン投与以外に関しては再発まで無治療で経過観察とした。ワクチンは、各々1mgのペプチドを含有する3種混合溶液(URLC10,CDCA1,KOC1)をIFA 1mlと混合し、腋窩や鼠径部の皮下または皮内に投与した。1クールは週1回5週連続投与+1週休薬とし、2クール施行以降は2週間毎に再発の有無にかかわらず合計20回まで投与した。主要目的は無再発生存期間(RFS)で、副次目的として全生存期間(OS)、有効性、安全性、免疫反応との相関を評価した。【結果】登録49例で、ワクチン群(V群):27例、対照群(C群):22例。2例を除き投与群全例で注射部位皮膚反応を認めたが、Grade3以上の有害事象は2例のみであった(7.4%)。2年RFSはV群vs. C群= 56.7% vs. 28.7% (p=0.199)、3年OSは65.7% vs. 38.9% (p=0.25)で、V群がよい傾向ではあったが、有意差はなかった。再発形式にも差はなかったが、血行性再発がV群vs. C群=25.9% vs. 40.9%、同時多発再発が18.5% vs. 36.4%と、いずれもV群に少ない傾向にあり(p=0.18)、再発後治療のCR率は27% vs. 0%とV群で良好であった(p=0.05)。解析の終了した16例中14例で強いCTL誘導が確認された。【結語】URLC10、CDCA1、KOC1由来のペプチドを用いた食道癌術後アジュバントワクチン療法は、強いCTL誘導能を有し、再発を抑制して予後を改善する可能性が示唆された。

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