演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

大久野島毒ガス製造工場従業員に生じた後影響に関する検討

演題番号 : S4-5

[筆頭演者]
河野 修興:1 

1:広島大学大学院医歯薬保健学研究院 分子内科学

 

 広島大学第2内科(現 分子内科学)では、昭和27年から60年間以上にわたり旧陸軍大久野島毒ガス製造工場旧従業員などの健康診断と診療を行っている。 毒ガス工場は、竹原市忠海沖の瀬戸内海に浮かぶ小島である大久野島に、昭和2年から20年の18年間にわたり設置されていたものである。毒ガス被害を受けたと想定される人数は、総計で約6800名とされている。 製造した主な毒ガスは、びらん性ガスであるイペリット(マスタード・ガス)、ルイサイト、くしゃみ性・嘔吐性のジフェニールシアンアルシン、窒息性のホスゲン、青酸、催涙性の臭化ベンジル、クロールアセトフェノンの7種類である。 急性障害として把握できているものは、皮膚に生じた水疱で、健康調査を開始した当初から最も注目してきた病態は気道炎症(気管支・細気管支炎)であった。これら直接的で単純な組織傷害だけではなく、後障害のうち発癌率は非常に高かった。呼吸器がん発症率は検診を開始した1950年代が最も高かった。一方、消化器癌の発症率も高く、1970代・1980年代がピークであった。マスタード・ガス製造従事者に生じた肺がんに関しては、発癌への影響を疫学的に明確にすることができた。  

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