演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

中皮腫の診断と治療

演題番号 : S4-2

[筆頭演者]
岸本 卓巳:1 

1:岡山労災病院 内科

 

中皮腫の約80%は石綿ばく露によって発生することが知られており、国は職業性石綿ばく露のある過去及び現在の労働者に対して年2回胸部レントゲン検診を行って対処している。我々は、職業性石綿ばく露者2,126例を対象として低線量CT検診を行い、5年間で6例の中皮腫を診断した。しかし、中皮腫早期症例の診断は難しく、大半は進行期症例である。画像上、典型的胸膜中皮腫では環状胸膜肥厚像を呈するが、胸壁腫瘍、縦隔腫瘍との鑑別が必要な症例があり、画像上に特異的な所見はない。中皮腫は治療方法が限定されるため早期病変の診断が必須であるが、早期例では胸水貯留や小結節形成のみで画像上診断が難しい。胸水貯留例では胸水ヒアルロン酸が10万ng/ml以上の際には中皮腫である可能性が高く、SMRP、CEA、CYFRA21-1、ADAを組み合わせると診断確率が高くなる。しかし、胸水や血清マーカーだけでは確定診断はできない。確定診断には腫瘍組織の病理組織学的な所見が必須であり、より確実な診断のためには胸腔鏡あるいは腹腔鏡下生検が望まれる。早期例への有効な治療法としては胸膜肺全摘術、化学療法としてシスプラチン+ペメトレキセドを4コース施行するとともに放射線照射を行うことが唯一の治癒を期待できる治療法である。このようなtrimodality療法を行えば5年生存例も少なくない。化学療法で有効な治療法はシスプラチン+ペメトレキセド併用のみであり、化学療法単独での生存期間中央値は10ヶ月前後であり、Best supportive Care(BSC)では、生存期間中央値は5ヶ月程度と予後不要である。また、現在、分子標的療法、抗体療法及び遺伝子治療、他に確立された有効な治療方法はない。

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