演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

骨転移患者に対するリハビリテーション

演題番号 : S3-3

[筆頭演者]
松本 真以子:1 
[共同演者]
辻 哲也:1

1:慶應義塾大学医学部 リハビリテーション医学教室

 

近年、画像診断や治療の進歩によって、骨転移の早期診断、早期治療が可能となった。また、骨転移と診断されて以降の生存期間も長くなる傾向にある。その現状において、骨転移診療のポイントは次のように考えられる。早期の診断、早期の治療や適切なリスク管理によって、合併症の予防や症状緩和を行う。その上で患者の身体機能や日常生活動作(ADL; Activity of daily living)の維持、改善を目指す。その結果、QOLの向上に繋がるであろうし、原病の治療可能な期間や生存期間が延長する可能性もあるだろう。進行がん、末期がん患者に対して、「患者・家族の希望を把握して、ADL、QOL向上を目指すこと」を目的としたアプローチを行うリハビリテーション(以下リハビリ)は、骨転移診療において、重要な役割を果たすことができる。リハビリを行う際には、まず様々な情報をもとに目標を設定する。情報としては、患者の症状や身体機能、骨転移病変と原発がんの状況や治療方針・内容、予想される生命予後、患者・家族へどのような告知がされているか、患者・家族がどのような希望を持っているか、などである。また、骨折や脊髄麻痺などの合併症や疼痛悪化の予防のためのリスク管理が必要である。症状や画像から、荷重や身体の動かし方などについてのリスクを評価する。適切な骨転移病変の評価や治療が十分に行われていることが前提であり、もしそれらが行われていない場合には、リハビリ施行そのものの適応について検討しなくてはならない。具体的なリハビリアプローチとしては、安全で痛みの生じにくい動作方法や道具・装具使用、環境設定を指導する。それらを病棟や自宅での日常生活に反映させることによって、骨折などの合併症予防や症状緩和を図り、ADLの改善をもたらすことができる。筋力や耐久性が低下している場合には、身体機能の維持、向上のために、適切な活動や運動を行う。 前述のように、リハビリの目標は原発がんや骨転移の治療方針に沿ったものとなり、病状が変化すれば目標を変更する必要がある。逆にリハビリを行うことによって身体機能やADLが改善すれば治療方針が変わる可能性もある。 そのため、主治医や骨転移治療医(整形外科医、放射線治療医)、緩和ケアチーム、看護師などと、リハビリ科の医師、療法士は、連携を取り、情報交換を行って、治療方針やリハビリ目標、リスク管理を共有することが大切である。

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