演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

食道癌症例における異時性多発重複癌発生High Risk群設定とその効果

演題番号 : S2-8

[筆頭演者]
中村 理恵子:1 
[共同演者]
大森 泰:1、川久保 博文:2、竹内 裕也:2、高橋 常浩:2、和田 則仁:2、才川 義朗:2、北川 雄光:2

1:慶應義塾大学 医学部 内視鏡センター、2:慶應義塾大学 医学部 一般・消化器外科

 

【はじめに】食道癌は同時性異時性多発重複癌の合併が多い事が報告されており、初回病変の治癒が得られても経過観察中に異時性多発癌や他臓器重複癌が出現することが多い。早期食道癌治癒症例では異時性多発重複癌早期発見を目的としたHigh Risk群設定による定期的な経過観察はQOLの高い予後の維持と医療資源の効率的運用において重要であると考える。【目的】食道癌内視鏡治療症例における異時性多発重複癌のRisk因子と経過観察方法を検討する。【方法】2002-2010年に食道扁平上皮癌の診断で内視鏡治療を施行され、2013年3月まで追跡可能(原則として半年1回の内視鏡経過観察)であった129例を検討対象とした。この129例を対象に年齢・性・飲酒喫煙歴・ALDH2遺伝子多型・異時性多発重複癌の発生とその拾い上げ状況を検討しRisk因子と経過観察方法の妥当性を検討した。また再現性・客観性の高いヨード不染帯を背景食道粘膜の不染状況を1視野あたりの不染帯個数により3群に分類(A群:明らかな不染帯なし,B群:A群にもC群にも属さない,C群:不染帯10個以上)しRisk因子として追加検討項目とした。【結果】検討症例は49-85歳(平均67.5歳)、男性110例,女性19例、生存98例,死亡31例であった。平均飲酒量は純エタノール換算60.4g/day、平均喫煙量Brikman Index 609.6、ALDH2-hetero欠損を示すMCV100以上症例は41例であった。24例において咽喉頭癌の既往があり、33例において異時性多発食道癌の発生を認め、12例において異時性咽喉頭癌の発生を認めた。背景食道粘膜の不染状況はA群8例、B群48例、C群73例であった。異時性食道癌はA群より2例、B群より6例、C群より25例に、異時性咽喉頭癌はB群より3例、C群より9例に発見された。異時性食道癌全例と異時性咽喉頭癌10例は早期癌で発見され内視鏡治療による治癒が得られた。異時性食道癌・咽喉頭癌発見37症例における平均飲酒量は純エタノール換算80.9g/day、平均喫煙量はBrickman Index675.9と高く、MCV100以上症例も13人と多い傾向が認められた。また半年ごとの経過観察により異時性食道癌・咽喉頭癌は2例を除き表在癌で発見され内視鏡治療による治癒を得ている。【結語】食道癌内視鏡治療症例における異時性多発重複癌のRisk因子は高度飲酒喫煙・ALDH2-hetero欠損・多発ヨード不染帯である。High-Risk群の定期的内視鏡経過観察により異時性癌早期発見治療が可能となりQOLを維持した良好な予後を得ることができる。

キーワード

臓器別:食道

手法別:内視鏡治療

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