演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

Lynch症候群、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の診断と発がん予防

演題番号 : S2-6

[筆頭演者]
田中屋 宏爾:1 
[共同演者]
勝田 浩:1、菅野 康吉:2、田村 智英子:3、久山 彰一:1、田中 彰一:1

1:岩国医療セ 、2:栃木県立がんセ、3:木場公園クリニック

 

Lynch症候群、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)は高い発がんリスクを有する遺伝性腫瘍症候群である。各々、大腸、乳腺の生涯累積発癌リスクは約80%で、遺伝子変異保持者は、共に一般人口の300-500人に1人と推測されている。診断、サーベイランス、発がん予防などの適切な対策により、癌死を回避することが可能であるが、我が国では遺伝診療の体制整備が遅れており、十分な医療が提供されていないのが現状である。Lynch症候群、HBOCの診断と発がん予防を中心に、我々の取り組みを紹介する。我々の施設では、遺伝性疾患の倫理的側面に十分に対応するため、認定遺伝カウンセラー2名を外部から随時招聘し、公平性と質の高いカウンセリングを提供できる体制を構築してきた。また、大腸癌研究会遺伝性大腸癌委員会、HBOCコンソーシアム、厚生労働省研究班による、我が国独自のデータ集積にも、積極的に協力している。Lynch症候群の遺伝子検査はこれまでに計55件(発端者診断34件、未発症保因者診断21件)行い、陽性14家系、未発症保因者9名を同定した。MLH1 exon5 1.2kb delは、我々が本邦の創始者変異として初めて報告した変異である(大腸癌研究会HNPCC第2次研究では遺伝子検査陽性例の8.9%を占める)。病歴・家族歴の聴取に加え、腫瘍浸潤リンパ球の病理所見などを一次スクリーニングに導入し、ミスマッチ修復遺伝子蛋白の免疫組織化学検査とマイクロサテライト不安定検査による効率的な拾い上げを確立している。一次予防には、禁煙支援や食事運動指導、乳酸菌製剤内服などを行っている。二次予防のサーベイランスでは、これまで23病変の癌(大腸11、胃7、十二指腸1、胆管4)を診断した。これら23病変は大部分が早期癌で、いずれも再発は認めていない。また、リスク低減手術として、予防的結腸全摘術(2例)、子宮附属器切除術(2例)を治療の選択肢として導入している。HBOCの遺伝子検査は、これまでに計25件(発端者診断21件、未発症保因者診断4件)行い、陽性2家系、未発症保因者3名を同定した。意義不明変異(VUS)と判定された2件は、in silico 解析で、いずれも病的変異の可能性が高いとリスクを判定し、陽性者と同等のサーベイランスを行っている。リスク低減手術として予防的卵巣卵管切除を施行可能な体制を整備し、BRCA1遺伝子変異を認めた1名に施行している。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:遺伝子診断

前へ戻る