演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

H. pylori 感染胃炎に伴う胃がん発生リスク評価と予防について

演題番号 : S2-3

[筆頭演者]
一瀬 雅夫:1 

1:和歌山県立医科大学医学部 内科学第二教室

 

背景:今日までの病理学的,臨床疫学的検討,そしてMongolian gerbil等の感染系を用いた動物実験の結果は胃癌多発地域において,いわゆるgastritis-atrophy-metaplasia -cancer sequenceが胃癌発生のmain route であり, Helicobacter pylori (Hp) 感染が本sequenceを開始し, 強力に推進する主要な要因である事を示している。しかし、Hp感染胃炎に伴う胃癌発生の詳細については明確でない部分も多い。演者らはこれまでに長期観察研究を行い、この点について検討を行って来た。対象と方法:和歌山県内職域および地域検診コホートを対象に胃癌発生に関する長期観察研究を行い、血清ペプシノゲンおよびHp抗体価で判定したHp感染の有無、胃炎の活動度、萎縮性胃炎の進展度、lifestyle factor等との関連を検討すると共に、Hp関連胃炎の病期とHp除菌の胃癌発生抑制効果との関係、化生性胃炎進展による自然除菌例を対象とした選択的COX-2阻害薬の胃癌発生抑制効果等について検討を行った。結果および結論:1.発生胃癌の大部分がHp感染に起因する慢性胃炎に由来し、萎縮性胃炎の進展に伴い胃癌リスクが段階的に上昇する事,2.萎縮性胃炎軽度の集団では胃炎活動度の上昇と共に胃癌リスク、特に未分化癌発生リスクの上昇を認める事,3.血清PGとHp抗体の二つの血液検査を用いてHp感染胃炎の活動度および病期を診断する事で、 各個人の胃癌発生リスクを評価する事が可能で有る事が明らかとなった(Int J Cancer 109:144-148,2004, 同123:917-926,2008, 同131;2632-2642, 2012. Cancer Epidemiol Biom Prev 17: 838-845, 2008)。さらに, 4.これらの血液検査をマーカーにした検診対象の集約化、除菌などの胃癌化学予防の対象選別の可能性が強く示唆された。(Int J Cancer 125; 2697-2703, 2009, 同126; 1467-1473, 2010)。

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