演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

北海道における遠隔地医療圏のがん患者・家族に対するフィールドワーク報告

演題番号 : S1-4

[筆頭演者]
鳥本 悦宏:1 

1:旭川医科大学病院 腫瘍センター

 

【背景・目的】がん診療連携拠点病院等の整備によりがん診療の均てん化が図られているが、拠点病院は都市に集中し、広大な医療圏を抱える北海道においては、拠点病院までの距離がある遠方の医療圏でのがん診療を取り巻く現状やがん診療における地域住民のニーズについては十分把握されていない。そこで、道北・道東地区をモデルケースとして地域の現状に見合った、より良いがん診療体制を推進するため、遠方に居住するがん患者・家族のがん診療における実態を調査した。【対象・方法】旭川医科大学病院(14名)および地域(名寄、遠軽、中標津)の中核病院(50名)において、本研究への参加を文書により同意したがん患者・家族に、がん診療を経験した上での問題点や実情を録音しながら直接聞き取り調査した。【結果】男性52名、女性12名。年齢は、60歳未満7名、60歳台20名、70歳台29名、80歳台8名。がん腫は、胃がん15名、大腸がん12名、肝臓がん17名、その他の消化器がん13名、消化器以外のがん7名であった。大学病院への受診歴のある患者は30名おり、その通院時間は、片道1時間以内5名、1~2時間9名、2時間~3時間11名、3時間以上5名と、半数以上が片道2時間以上かけて通院していた。また、8割近くの患者が通院に自家用車を使用していた。放射線治療を含む集学的治療を提供できる病院は地元になく、大学病院まで通院できる患者は、専門的医療スタッフや設備の充実した施設での診療に満足しているが、家族からの支援の必要性や通院時間、経済的な問題に対して負担を感じていた。地元の病院でがん診療を受けている患者も、それなりに満足しているが、専門的な診療を提供できる医師の有無が満足度に大きく影響していた。また、医師以外の医療スタッフに対しての不満も散見された。【結語】地域で満足度の高いがん診療を提供するには、専門的な医療を提供できる医師を継続して派遣できるシステムの構築に加えて、看護師や薬剤師などの基本的ながん診療能力の向上を図ることが重要であると考えられた。

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