演題抄録

プレナリーセッション

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

がん化学療法に伴う貧血と輸血に関する全国調査研究

演題番号 : PS1-5

[筆頭演者]
吉野 一郎:1 
[共同演者]
田中 朝志:2、牧野 茂義:2、桑野 博行:1、高橋 孝喜:2、前原 喜彦:1、西山 正彦:1

1:日本癌治療学会、2:日本輸血・細胞治療学会

 

背景と目的我が国におけるがん化学療法(化療)に伴う貧血(chemotherapy-induced anemia:CIA)とその指示療法である輸血の実態を明らかにするために、日本輸血・細胞治療学会と日本癌治療学会による全国アンケート調査が実施された。方法 65施設を対象に、2010年9月~2010年11月における8つのがん種(乳房、肺、胃、大腸・直腸、肝臓、婦人科系、泌尿器系、悪性リンパ腫)における化学療法、CIA、輸血の症例数を後方視的に調査し(一次調査)、さらに症例を無作為抽出し輸血前後の血液検査所見、輸血の有害事象等について調査した(二次調査)。結果 [一次調査]化学療法を施行された9,840例中、赤血球輸血は736例に4,323単位施行されていた(輸血率7.5%)。がん腫別輸血率は、乳癌1.6%、肺癌4.1%、胃癌9.7%、大腸・直腸癌3.5%、肝臓癌5.1%、婦人科系10.3%、泌尿器系9.0%、悪性リンパ腫7.3%であった。輸血を受けた患者一人あたりの輸血単位数は平均5.9で、がん腫別には悪性リンパ腫が最多(7.3)で肝臓癌が最少(3.9)だった。またHb10g/dl以下の年間CIA患者数は約17.2万人で、化学療法実施患者の40%と推測された。[二次調査]抽出された1596例のうち190例(11.9%)に輸血が施行されていた。化療前後の平均Hb値は11.6/10.4g/dlで、がん腫別には乳癌11.6/10.8g/dl、肺癌11.8/10.1g/dl、胃癌11.0/9.9g/dl、大腸・結腸癌12.0/11.3g/dl、婦人科系11.7/10.5g/dl、泌尿器系11.4/9.6g/dl、悪性リンパ腫11.1/9.6g/dlであった。輸血例では9.5/6.9g/dlで、がん腫別には乳癌9.5/6.5g/dl、肺癌10.4/7.6g/dl、胃癌9.9/7.4g/dl、大腸・結腸癌10.6/7.1g/dl、婦人科系9.5/7.4g/dl、泌尿器系9.4/7.2g/dl、悪性リンパ腫9.5/7.1g/dlであった。輸血実施率は化療後のHb値が低くなる程高くなり、8g/dl未満で56%(142/254例)、7g/dl未満で70%(94/134例)、6g/dl未満で73%(79/108例)であった。赤血球輸血の副作用は2.2%にみられた。輸血と関連のある因子として、化療および放射線療法の既往、プラチナ製剤の使用が示唆された。結語 我が国におけるCIAとその支持療法としての赤血球輸血の実態が初めて明らかにされ、年間赤血球輸血量は14.6万単位と推計された。CIAにおける輸血療法は適切かつ安全に施行されていることが示されたが、控え目に行われている実態も窺われた。患者ケア・医療倫理・血液資源の観点から、輸血以外の選択肢について議論が必要と考えられる。

キーワード

臓器別:その他

手法別:化学療法

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