演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

高齢者がん診療における医師会の役割

演題番号 : PD3-4

[筆頭演者]
道永 麻里:1 

1:日本医師会

 

がんの治療は、がん診療連携拠点病院等を中心とした高次機能病院における専門的治療に集約化される傾向にある。しかし、高齢者のがんに対する医療の提供は、QOLの維持向上を目指した維持療法や在宅を含めた緩和ケア等の対応がより重要となり、地域の中小病院、診療所、訪問看護ステーション等、各施設の有意的連携が求められる。厚生労働省「今後のがん研究のあり方に関する有識者会議」の議論においても、ライフステージに応じた対応の重要性が指摘され、自律機能の低下や他疾患の併存という高齢者の特性を考慮した予防・診断・治療法の開発が必要とされている。また、2012年6月に改定された『がん対策推進基本計画』では、「がん医療に携わる医療従事者への研修や緩和ケアチームなどの機能強化等により、がんと診断された時から患者とその家族が、精神心理的苦痛に対する心のケアを含めた全人的な緩和ケアを受けられるよう、緩和ケアの提供体制をより充実させ、緩和ケアへのアクセスを改善し、こうした苦痛を緩和することが必要である。また、がん患者が住み慣れた家庭や地域での療養や生活を選択できるよう、在宅緩和ケアを含めた在宅医療・介護を提供していくための体制の充実を図る必要がある。」とされている。高齢化が加速するわが国の人口構造のなかで、高齢者に適した治療と全人的緩和ケアは、今後のがん対策の重要な柱となるものであり、これらは拠点病院に集約化することで対応し得るものではなく、患者・家族の居住する地域で広く適切に提供されるべきである。とくに緩和ケアについては、がん診療に関わるより多くの医療関係者が、その知識、技能、対応を習得できるよう、研修体制の充実が急務となっている。 現状の研修会は、がん診療連携拠点病院を中心に実施されており、開催日時、内容ともに必ずしも一般の診療所等の医師や医療従事者にとって受講しやすいものとなっておらず、その改善が求められている。各地域の医師会は、これまでもそれぞれの地域の特性に応じた医療提供体制の確保に取り組んでいるが、がん在宅緩和ケアを中心とした医療連携、多職種協働、地域での医師や医療従事者への教育、研修等、高齢化の進行を見据えたがん診療に対して、地域の医師会の果たすべき役割はますます大きくなっている。

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