演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

医療体験実習を通じたがん初等教育の試み

演題番号 : PD2-2

[筆頭演者]
藤谷 幹浩:1 
[共同演者]
鳥本 悦宏:2、高後 裕:1

1:旭川医科大学 内科学講座 消化器・血液腫瘍制御内科学分野、2:旭川医科大学病院 腫瘍センター

 

がん対策推進基本計画の「がんの教育・普及活動」の中で、「子どもに対するがん教育のあり方を検討し、健康教育の中でがん教育を推進する。」との具体的な方針が述べられており、初等・中等教育分野におけるがん教育の重要性が強調されている。しかし現実には、医療サイドと学校との十分な協力体制が整っている地域は少なく、各学校の教員と医師や医療スタッフの自主的な活動に依存しているのが現状である。がん診療は多職種の医療スタッフが連携して診療にあたることで成り立っており、医療スタッフ間でお互いの役割を理解し、問題点を共有することが必要である。このような観点から、初等・中等教育の場においてもがん医療に携わる多職種の役割を理解してもらうことが重要となる。そこで我々は、本学術集会の活動の一環として、がん診療の体験実習を主な内容としたキッズスクールを開催した。対象は小学5、6年生20名であり、保護者も一緒に参加して頂いた。主なプログラムは、がん医療の体験実習、がん患者さんの講演、がん治療食の体験、がん診療に関するQ&Aである。体験実習の内容は、口腔ケア体験、看護体験、超音波検査体験、内視鏡手術体験、リハビリ体験であり、医師や看護師、歯科衛生士、理学療法士など、多職種の仕事が体験できるプログラムとした。およそ6か月間にわたる準備期間を経て、夏休み期間を利用して行った。最初は、初めての医療体験に戸惑っていた参加者も体験実習が始まるとすぐにとけこみ、終了後のアンケート調査では、参加者全員が「大変よかった」と回答した。また、参加した小学生から、「医療関係の仕事は改めて大変だとわかった」「大人になったら医大で働きたい」「お医者さんになってみたくなった」などの医療職への理解を示す意見や、「障害者の不便さがよくわかりました」「がんの人を支え積極的に行動したい」などのがん患者支援の必要性を理解した意見などが記載されており、初等教育分野におけるがん教育の有効な手段のひとつと考えられた。今後このようながん診療に関する啓蒙活動を、初等・中等教育の分野で普及させていくことが重要であると同時に、高等教育や専門教育へと橋渡ししていく過程で、この活動がどのように寄与していくかを明らかにする必要があると考えられた。

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