演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

ワルファリンカリウムとパクリタキセルの薬物相互作用に関する検討

演題番号 : P98-9

[筆頭演者]
荒井 秀和:1 
[共同演者]
齋藤 麻衣子:1、小林 由夏:2、須藤 晴美:1

1:立川綜合病 薬剤部、2:立川綜合病 消化器セ

 

【目的】当院では循環器疾患患者で、ワルファリンカリウム(以下、WF)を服用している患者が多い。近年では、WF服用中の患者に、がん化学療法を施行するケースが増加している。先行文献では、WFとフルオロウラシル系抗がん剤との相互作用の報告は多くみられており、当院でも昨年、S-1を中心とした経口FU剤によりPT-INR値(以下、INR値)が上昇したという報告を行った。一方、タキサン系抗がん剤との相互作用に関する報告は稀である。そこで、今回、WFとパクリタキセル(以下、PTX)療法が併用された患者のINR値の変動について検討し報告する。【方法】2009年10月~2013年3月までの期間で、WF服用患者2310例中、新規にPTX療法が導入された症例をレトロスペクティブに解析した。調査項目は、患者背景(性別、年齢、がん腫、肝機能、腎機能、アルブミン値、血小板、INR値に影響を及ぼす併用薬)、PTX併用前後のINR値、WF投与量とした。また、PTX投与後の主な有害事象(CTCAE ver4.0)についても追跡調査した。【結果】対象患者は、4例(乳癌2例、胃癌1例、食道癌1例)であった。PTX併用によりINR値上昇がみられた症例は3例であり、このうちINR値上昇率が高かった2例にWFの減量や中止がなされていた。また、INR値の上昇時期は一定ではなく、INR上昇に伴う合併症やPTXによるGrade3以上の有害事象はみられなかった。【考察】対象患者数は少ないが今回の検討では、PTXとWFとの併用によりINR値の上昇が認められた。両薬剤の添付文書に薬物相互作用の記載はないが、血漿蛋白結合置換を介することが要因の一つではないかと考えられる。また、腎機能の追跡調査により、腎機能が低下している患者の方がINR値の上昇傾向が強い可能性がみられた。このことから、腎機能の低下がみられる患者においては、WF量の調節に特に注意が必要と考える。【結語】WFとPTXの併用により、INR値の上昇がみられる事がある。INR値の変動や有害事象の発現は患者毎に様々であり、共通の相関性を得ることは出来なかったが、腎機能が影響していると考えられる。今後、症例数を増やし、相関性を調査する必要がある。また、WFとPTXは異なる診療科から処方されることが多く、薬剤師として各診療科の医師及び患者に相互作用を啓蒙していくことも重要である。

キーワード

臓器別:その他

手法別:化学療法

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