一般演題(示説)
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当院で密封小線源療法を施行した前立腺癌症例の臨床的検討 演題番号 : P97-9
1:藤田保健衛生大 泌尿器科、2:藤田保健衛生大 放射線科
【目的】当院で施行した前立腺癌に対する密封小線源療法の治療成績、合併症を臨床的に検討した。【対象と方法】2006年7月から当院で施行した密封小線源治療症例のうち治療後1年以上経過した463例を対象とした。D’Amicoのリスク分類で低リスク症例には小線源単独治療、中リスクと高リスク症例には外照射併用療法を行った。患者年齢は48歳から81歳(中央値68歳)、前立腺癌診断時のPSA値は3.37ng/mlから86.85ng/ml(中央値7.04ng/ml)であった。低リスク症例は241例、中リスク症例は184例、高リスク症例は38例であった。前立腺癌再発の基準はPhoenix criteria、有害事象判定はCTCAE ver.4を用いた。【結果】経過観察期間は12ヶ月から82ヶ月間(中央値45ヶ月間)で、PSA再発を463例中23例で認めた。その内8例は臨床的再発、他の15例はPSA bounceと診断した。臨床的再発を来した8症例は高リスク群2例、中3例、低3例であった。再発までの期間は9ヶ月から72ヶ月(中央値33ヶ月)であった。全症例の臨床的非再発率は3年99.0%、5年94.8%、7年90.0%であった。臨床的再発を来した8例中1例で小線源治療後6年3ヶ月に救済療法としてロボット支援前立腺全摘出術(RARP)を施行した。合併症無く完遂し術後PSA値は感度以下を維持している。他の7例はホルモン療法へ移行し、その内1例は小線源治療後20ヶ月で癌死した。他因死は7例に認められた。有害事象は排尿障害Gr.2を25例、Gr.3を2例に認め、Gr.3症例には経尿道的前立腺切除術を行った。また直腸出血Gr.2を24例、Gr.3を7例に認め、Gr.3症例には直腸粘膜焼灼術を行った。尿道直腸瘻を1例に認めた。【結語】限局性前立腺癌症例に対して463例の密封小線源治療を行い、治療成績を報告した。臨床的非再発率は良好な成績であった。再発症例に対しては局所再発と診断できれば救済療法として前立腺全摘出術も選択可能と考えられた。
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