演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

卵巣癌TC療法中にSIADHを認めた1例

演題番号 : P92-11

[筆頭演者]
今城 宏文:1 
[共同演者]
古川 卓也:1、久保田 豊:1、深沢 建一:1、森 篤:2、斉藤 和彦:1

1:長野市民病院 薬剤部、2:長野市民病院 婦人科

 

【はじめに】抗利尿ホルモン分泌異常症候群(SIADH)は1957年Schwartらによって提唱された概念で、ADHの異常分泌のため水分貯留が起こり、その結果、低Na血症に至る症候群である。SIADHは腫瘍随伴症候群の一つとして知られており、原因として小細胞肺がん、膵がん、前立腺がんなどがある。また、抗がん剤(vincristine,cyclophosphamide など)でも生じる報告がある。今回卵巣癌患者へのTC(CBDCA+PTX)療法施行中にSIADHが発症し、血清Na値の補正により同治療を継続できた症例を経験したので報告する 。【症例】73歳女性、腹部膨満を主訴とし、CTを撮影したところ、卵巣腫瘍を認め、婦人科へ紹介となった。臨床病期3期と診断され術前化学療法としてTC療法が選択され治療開始となった。 【経過】1コース目、CBDCA 500mg+PTX 240mg治療開始。投与後3日間は症状なく経過された。投与4日目より悪心Grade2、嘔吐Grade1が出現。食事摂取できていないことから5日目より補液(低張輸液製剤2000mL)投与開始。6日目未明に転倒、痙攣が出現。症状出現時、腎機能、副腎機能は正常であり、血清Na値114mEq/L、血漿バゾプレシン値32.5pg/mL、血漿浸透圧239mOsm/kg、尿浸透圧405mOsm/kg、尿中Na濃度97mEq/Lであった。そのためSIADHと診断され血清Na値の補正と飲水制限による治療が行われ、10日目には改善が認められた。2コース目、血清Na値を頻回に測定すること及び補液によるNa低下の助長を防ぐため低張輸液製剤を使用しないこととし、1コース目と同量のTC療法を行った。2日目に、軽度の血清Na値低下(141=>137mEq/L)を認めた為、Naの投与(10%NaCl 130mL)を10日間おこなった。血清Na値の補正によりTC療法が継続可能であった。【まとめ】今回、SIADHを経験し血清Na値の補正によりTC療法を継続することができた。卵巣癌TC療法によるSIADHの報告は少なく、一般的には中止となることが多い。しかし、今回の症例のように、頻回のモニタリング及び血清Na値の補正による投与継続も治療選択肢になり得ると考えられる。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:支持療法

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