演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

後腹膜原発粘液性腺癌治療後、卵巣粘液性腺癌を発症した一例

演題番号 : P92-5

[筆頭演者]
栗田 智子:1 
[共同演者]
中島 貴美:1、厚井 知穂:1、庄 とも子:1、荒巻 聡:1、卜部 理恵:1、稲垣 博英:1、植田 多恵子:1、鏡 誠治:1、川越 俊典:1、松浦 祐介:1、蜂須賀 徹:1

1:産業医科大学

 

背景:後腹膜には腺上皮が存在しないため、上皮性腫瘍の頻度は約3.6%、粘液性腺癌の発生に関しては極めて稀と報告されている。発生起源についてはcoelomic metaplasiaや heterotopic ovarian tissueなど様々な説があり、子宮・卵巣の摘出が予後を改善するという報告もある。今回後腹膜原発粘液性腺癌の治療後、卵巣粘液性腺癌を発症し脾臓転移を来した一例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。症例:34歳、1経妊1経産。現病歴:3年前右下腹部痛・大腿痛のため近医を受診した際、超音波検査で嚢胞状腫瘤を認め当科へ紹介となった。MRIで右下腹部に14X19cm大の嚢胞状腫瘤を認め、両側卵巣との連続性は明らかでなく、卵巣腫瘍の他、虫垂由来のmucoceleや嚢胞腺腫、腸間膜由来の重複嚢胞や嚢腫も疑われた。腹腔鏡検査を施行したところ両側卵巣は正常大で、上行結腸が左側に偏位するように、腫瘍は後腹膜から発生していた。摘出した腫瘍は、無色透明な漿液性内溶液を約1000ml含んでいた。病理組織検査では、軽度の核異型がある粘液性高円柱上皮から成り、一部に間質浸潤が認められ、粘液性腺癌の所見であった。消化管や膵臓などに病変はなく、転移性腫瘍は否定的であった。追加治療なく1年7ヶ月後の帝王切開時に、両側卵巣に6cm大と4cm大の嚢胞状腫瘍を認めた。腫瘍の一部はダグラス窩に癒着し、粘液性腺癌で免疫組織化学染色ではER・PRは陰性、中皮マーカーであるD2-40が陽性であり、後腹膜腫瘍と同様の結果であった。卵巣癌根治手術を行いIIb2期(pT2bN0M0)であったため、adjuvant chemotherapy:paclitaxel 180 mg/m2 + carboplatin (AUC 5)を6コース施行した。さらに1年後脾臓に転移を疑う腫瘍を認め、脾臓摘出術を施行した。前回治療から1年経過していたが粘液性腺癌であったため、adjuvant chemotherapy:L-OHP 100mg/m2 + TS-1 100mg/dayX15daysを3コース施行した。現在最終治療後10ヶ月経過しNEDである。まとめ:後腹膜原発粘液性腺癌の発生起源には諸説があり、卵巣癌が後発する可能性も指摘されているが、症例数が少ないため、治療や予後について確立されたものはない。また卵巣粘液性腺癌に対する有効な抗癌剤治療も、確立されていない。これまで報告された症例をレビューし、本症例の治療を後方視的に検討する。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:手術療法

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