演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

術前診断が困難であった原発性卵巣癌ー4重複癌の1例

演題番号 : P92-1

[筆頭演者]
宮本 泰斗:1 
[共同演者]
小山 瑠梨子:1、平尾 明日香:1、大竹 紀子:1、北村 幸子:1、須賀 真美:1、宮本 和尚:1、高岡 亜妃:1、青木 卓哉:1、今村 裕子:1、星野 達二:1、今井 幸弘:4、篠原 尚吾:3、辻 晃仁:2、北 正人:1

1:神戸市立医療センター 中央市民病院 産婦人科、2:神戸市立医療センター 中央市民病院 腫瘍内科、3:神戸市立医療センター 中央市民病院 頭頸部外科、4:神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床病理科

 

【緒言】癌の早期発見と治療成績の向上により担癌患者の生存期間が延長し、重複癌を経験する機会が増えている。また若年の重複癌における家族性の遺伝子異常の存在が明らかになっており、そのような症例に対しては遺伝カウンセリングなど適切な対応が求められる。重複癌では同時期に複数臓器に病変が出現し、原発と転移の判断に苦慮する場合が存在する。今回我々は大腸癌と乳癌の既往を持ち、外耳道癌の術後局所再発時に骨盤内腫瘤を同時に認め、その後の手術にて原発性卵巣癌と診断された4重複癌の1例を経験したので報告する。【症例】60歳女性、1経産。家族歴として父のクモ膜下出血があり、7年前にS状結腸癌に対してS状結腸切除・リンパ節郭清術を、4年前に左乳癌に対して乳房全摘術を施行された既往がある。それらは術後に再発を認めず経過していた。2年前に耳漏を契機に発見された左外耳道癌(扁平上皮癌)に対し左側頭骨切除術を施行し、術後3か月のPET-CTにて局所再発、骨盤内腫瘤および肝S6の腫瘤を指摘された。再発巣の病勢が強かったことと、骨盤内および肝臓の腫瘤が生検困難な部位であったことから、遠隔病巣に対する病理診断は行わずに同時化学放射線治療(シスプラチン・ドセタキセル併用)とそれに引き続くドセタキセルによる化学療法を施行した。治療により病変は完全に消失したが、化学療法終了後3か月のPET-CTにて骨盤内腫瘤の孤発再発を認めたため、婦人科に紹介となり手術を施行した。手術所見では、子宮は多発筋腫のため手拳大で、右卵管采付近に乳頭状増殖を示す2cmの腫瘤を認めた。腹腔内に明らかな播種結節はなく腹水細胞診は陰性であった。単純子宮全摘・両側付属器切除・大網切除術を施行し、病理検査にて右卵巣原発の類内膜腺癌(pT2aNXMX)と診断された。その後カルボプラチンとパクリタキセルによる補助化学療法を施行中で、術後4か月の現在明らかな再発を認めていない。なお、遺伝カウンセリング実施については現在相談中である。【考察】同時期に複数の病変を認める重複癌では、原発と転移の判断、およびその後の適切な治療方針決定のためにも病理診断が必須である。そして治療後には複数の当該診療科による慎重な経過観察が必要となる。本症例は比較的若年の重複癌で、遺伝子診断が患者自身の、そして子・同胞の将来の発癌リスクを予測する上で重要となるため、十分なインフォームドコンセントの後に実施されるべきである。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:診断

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