一般演題(示説)
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エベロリムス内服中の間質性肺炎に対してステロイドを内服し治療継続できた1例 演題番号 : P89-3
1:相澤病院 外科
エベロリムスは膵神経内分泌腫瘍に対して有効な薬剤であるが高率に間質性肺炎を併発することが知られている。今回エベロリムス内服中に間質性肺炎を併発したが、ステロイド内服にて改善し、その後ステロイドを継続しながらエベロリムス内服を継続できた1例を経験したので報告する。症例:66歳男性。既往歴:糖尿病。現病歴:2010年6月黄疸を主訴に他院受診。胆管ステント挿入され9月に膵腫瘍の診断にて膵島十二指腸切除術を施行された。病理検査にて十二指腸原発内分泌腫瘍の膵浸潤と診断され、術後経過観察目的にて当院紹介受診となった。2011年11月のCTにて多発肝転移を指摘され、2012年1月からエベロリムス10mg/dayの内服を開始した。軽度の口内炎と背部の皮疹以外に有害事象を認めなかったが、開始2ヶ月目の3月のCTにて両側肺野に間質陰影の出現を認めた。熱発、咳嗽、呼吸困難など臨床症状は認めないこと、既往に糖尿病(HbA1c 8.6%)がありインスリン治療中であったことからステロイド投与を行なわず休薬にて経過をみることとした。休薬後の1ヶ月のCTにて両側肺の間質陰影は増悪をみとめたため糖尿病内科と相談しステロイドの内服を開始することとした。プレドニン40mg/dayにて開始し、症状の増悪を認めないことから一週間後に30mg/dayに、さらに一週間後に20mg/dayに漸減した。ステロイド開始後1ヶ月目のCTにて間質性肺炎は著明に改善し、同時に肝転移の増悪を認めたためエベロリムスを5mgにて再開した。2週間後の胸部レントゲンにて間質陰影の増悪を認めずプレドニンを10mg/dayに減量した。エベロリムス再開後1ヶ月のCTでも間質性肺炎の増悪を認めずエベロリムスを10mgに増量した。その後腫瘍増悪にてエベロリムスを中止したが間質性肺炎の増悪は認めなかった。結語:エベロリムス内服中の間質性肺炎に対してステロイド内服を併用することにより投与を継続することが可能であった1例を経験した。本症例では治療効果なく中止となったが、エベロリムスによる間質性肺炎の場合でもステロイドによる改善が得られれば注意深い観察のもとでの治療再開は可能と考えられた。
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