演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

腫瘍マーカーの上昇と画像診断が乖離した肝内胆管癌の1例

演題番号 : P88-5

[筆頭演者]
坂本 広登:1 
[共同演者]
武田 美鈴:1、松野 成伸:1、三澤 俊一:1、宮本 昌武:1、桐井 靖:1、高木 洋行:1、太田 浩良:2、安田 是和:3

1:松本市立病院 外科、2:信州大学 医学部保健学科生体情報検査、3:自治医科大学付属病院 消化器外科

 

症例は63才、女性。既往に原発性胆汁性肝硬変があり、平成23年6月に早期胃癌に対し 幽門側胃切除術を施行され当科外来通院中であった。通院中にCA19-9の漸増を認め精査を進めた。CA19-9が1500 U/mlでの造影CT、造影MRI(Gd)で腫瘤は認識できず、PET-CTで異常集積を認めなかった。しかし、5か月後にCA19-9が6000 U/mlに上昇した際、造影CT、造影MRI(Gd)で腫瘤は認識できなかったが、PET-CTで肝S8に集積を認め肝内胆管癌の診断に到った。その後の精査のCTAPでS8に造影不良領域が描出され、EOB-MRIのKupffer imageで欠損像、ソナゾイドエコーで早期濃染と後期の欠損像を認めた。CA19-9以外の血液検査項目は5か月間で変化はみられなかった。Child-Pugh A、肝障害度Aであったが、既往の原発性胆汁性肝硬変により左葉の分肝予備力が著しく低下しており拡大肝右葉切除は不可能と判断し、開胸開腹下で術中ソナゾイドエコーを併用し、右および中肝静脈基部合併切除を含むS8亜区域切除を行った。肉眼的には境界不明瞭にスキップ状に腫瘍が正常肝内に浸潤し、G8に沿って小範囲の断端陽性を来した。病理は中分化優位のcholangiocellular carcinomaであった。現在、残肝断端照射とジェムザールによる術後補助化学療法を施行中である。肝内胆管癌は進展形式として腫瘤形成型、胆管浸潤型、胆管内発育型に大別され、胆管浸潤型は浸潤範囲の術前診断に難渋する事が多い。今回の症例も胆管浸潤型に分類されるが、浸潤範囲ばかりかその存在診断自体が困難であった。肝内胆管癌におけるPET-CTの意義はFDGの取り込みからの再発予測、リンパ節転移診断など、予後を予測する目的で使用される事が多い。局在診断や浸潤範囲の診断にはむしろ造影CTやMRIの有用性が優るが、今回はPET-CT以外の検査では局在診断に至らなかった。PET-CT以外ではCTAP、EOB-MRI、ソナゾイドエコーにより今回の腫瘤は描出が可能であった。Kupffer imageでの陰影欠損に着目すれば初回のPET-CTの時点で局時診断が可能であったかもしれない。マーカー上昇のみで局在不明な癌腫の診断には、様々なモダリティーを繰り返し使用する必要性があると考えられる。

キーワード

臓器別:胆嚢・胆道

手法別:診断

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