演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

80歳以上の高齢者に対する大腸癌化学療法

演題番号 : P85-7

[筆頭演者]
佐々木 滋:1 
[共同演者]
中村 純一:1、大曽根 勝也:1、加藤 寿英:1、沖 彰:1、秋谷 雅之:1、登内 昭彦:1、横山 元昭:1、仲田 真一郎:1、横田 哲生:1、吉留 博之:1

1:さいたま赤十字病院 外科

 

【はじめに】近年、大腸癌に対する化学療法の方法は分子標的薬も含めると多岐にわたり、安全性も高まっている。しかし、臨床試験には年齢制限を設定しているものが多く、高齢者に対する化学療法のエビデンスを示した報告は少ない。日本の大腸癌治療ガイドラインにも高齢者大腸癌患者、特に80歳以上の大腸癌患者に対しては明確な指針は示されていない。そこでわれわれは当院で大腸癌の診断・治療を受けた患者をretrospectiveに解析・検討を施行した。【対象・方法】2007年1月から2012年12月までの期間に当院で大腸癌と診断され入院加療がなされた1,222例の症例のうち治療開始時または化学療法施行時に80歳以上であった184例を対象とした。【結果・考察】80歳以上の症例184例のうち、内科にてESD等の内視鏡的治療のみがなされた症例を除いた139例を解析した。化学療法が考慮されるStage II以上の症例は112例であったが、82例(82/112, 73.2%)は化学療法が施行されず(chemoなし群)、実際に何らかの化学療法が施行された症例は30例(26.8%)であった。そのうち経口抗癌剤のみの症例(内服群)は18例であり、経静脈的に投与される薬剤を使用したレジメンを施行した症例(経静脈群)は12例であった。経静脈群のほとんどの症例はPDまではプロトコールどおりに化学療法を施行できており特記すべき有害事象も認めなかった。手術時または化学療法開始時の平均年齢はchemoなし群83.0歳、内服群81.0歳、経静脈群77.6歳であり、年齢が上がるにつれてより身体的負担の少ない治療が選択される傾向にあった。Stage別では、Stage (II・IIIa・IIIb・IV)がそれぞれ(31・44・13・24)例であった。Stage IIでは再発例は4例のみであり、そのうち3例に化学療法が施行されていた。また、Stage IIIb/IVでは打ち切り・他病死を除くと全例が再発しており、手術時または治療開始時からの生存期間の中央値は化学療法施行例では27ヶ月なのに対し、化学療法非施行例ではわずか5ヶ月であった。したがって化学療法が施行できる全身状態(PS・併存疾患の有無など)である場合には80歳以上の高齢者であっても化学療法は安全に施行でき、生存期間の延長に寄与する可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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