演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

mFOLFOX6導入後に著明な乳酸アシドーシスを認めた1例

演題番号 : P85-3

[筆頭演者]
伊藤 雅典:1 
[共同演者]
河本 和幸:1、朴 泰範:1、伊藤 雅:1

1:公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院 外科

 

【はじめに】FOLFOX療法は大腸癌に対する標準的治療レジメンとされており、主な有害事象は末梢神経障害、骨髄抑制などが挙げられる。高アンモニア血症や可逆性白質脳症に伴う意識障害の報告は散見されるが、乳酸アシドーシスに伴う意識障害の報告は稀である。今回われわれは直腸癌の術後補助療法としてmFOLFOX6療法導入後乳酸アシドーシスにより意識障害を来たした1例を経験したので報告する。【症例】64歳男性。2010年8月直腸癌による腸閉塞から閉塞性腸炎を来たし当科紹介。受診の数日前から食事できておらず、TP:6.2g/dl、ALB:2.2 g/dlと低タンパク血症あり。CRP:18.05 mg/dl、WBC:36,000/μlと著明な炎症所見を認めた。腹部造影CT上腫瘍の口側腸管の血流不全が疑われたため、緊急手術施行。原発巣には触れず、閉塞性腸炎を来たしたS状結腸を切除し、2孔性横行結腸人工肛門を造設した。全身状態を考慮し、まず経口のUFT/LV療法を開始した。その後全身状態改善を認めたため、強力なレジメンの化学療法への変更を考慮していたが、原発巣からの出血がコントロールできないため、明らかな遠隔転移がないことを確認のうえ2011年3月に骨盤内臓全摘術を施行した。切除標本の病理診断結果はpT4N0M0, pStage 2、治療効果 Grade 1bであった。顕微鏡的に剥離面の腫瘍残存(pRM1)が疑われたため、2011年5月補助化学療法としてmFOLFOX6療法を開始した。1日目は特に問題なく経過したが、2日目から吃逆と嘔吐が出現し、食事摂取が不可能となり、その後意識障害が出現した。血液検査では著明な乳酸アシドーシスを認めた(pH7.322,Lac140.3mg/dl)。画像検索では頭蓋内には意識障害の原因となる病変は指摘できなかった。点滴によるアシドーシスの補正により、意識レベルは速やかに改善した。その後は化学療法施行せずに経過をみており、2013年5月現在再発所見認められていない。【考察】本症例のアシドーシスはPH>7.3であり、CTCAE上Grade2の有害事象と考えられる。化学療法の継続も考慮したが、本人の意志が固く以後は治療中止している。意識障害は本人や家族に及ぼす心理的影響が大きく、頻度は少ないが注意すべき有害事象と考える。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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