演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

遺伝子情報によるバイオマーカーを用いた進行・再発大腸癌の検討および治療戦略の確立

演題番号 : P84-9

[筆頭演者]
稲田 涼:1 
[共同演者]
永坂 岳司:1、母里 淑子:1、楳田 祐三:1、竹原 裕子:1、森川 達也:1、吉田 一博:1、久保田 暢人:1、横道 直佑:1、近藤 喜太:1、浅野 博昭:1、佃 和憲:1、貞森 裕:1、八木 孝仁:1、藤原 俊義:1

1:岡山大病 消化器外科

 

【背景と目的】近年大腸癌の診療において、化学療法の感受性や予後予測のバイオマーカーとして、KRAS・BRAF遺伝子変異の有用性が示されている。これらを用いて、Stage IV大腸癌および再発大腸癌の検討を行い、治療戦略の構築を行った。【対象と方法】当科で治療を受けた大腸癌患者のうち遺伝子解析の同意を得た、Stage IV大腸癌127例および再発大腸癌80例(Stage IV症例を除く)を対象にKRASBRAF変異およびMSIを解析した。FAPおよびLynch症候群などの家族性腫瘍は除外した。【結果】KRASBRAF変異は同時にみられることはなく、KRAS変異、BRAF変異、両遺伝子野性型は、Stage IV127例では、それぞれ35例(27.6%)、7例(5.5%)、85例(66.9%)となり、再発80例では、23例(28.8%)、7例(8.8%)、50例(62.4%)となった。MSIはStage IV、再発でそれぞれ0例(0%)、1例(1.3%)のみであった。Kaplan-Meier法を用いた比較では、Stage IV127例の診断時からの生存期間は、BRAF変異群が、KRAS変異群、両遺伝子野生型群と比べて不良であったが(MST;KRAS変異群/BRAF変異群/両遺伝子野生型群:36.8ヶ月/2.5ヶ月/37.1ヶ月、p<0.001)、再発80例の再発時からの生存期間は、3群間に有意差を認めなかった(MST;KRAS変異群/BRAF変異群/両遺伝子野生型群:43.0ヶ月/17.0ヶ月/91.0ヶ月、p=0.242)。Stage IV127例に対して、年齢、性比、CEA値、原発腫瘍位置、遠隔転移臓器数、組織型、腫瘍遺残、化学療法使用歴、分子標的薬使用歴、KRAS変異、BRAF変異で多変量解析した結果、BRAF変異は独立予後不良因子となった(p<0.001, HR10.76)。Stage IV127例全体では、術前化学療法群と手術先行群とを比較すると生存期間に有意差を認めなかったが、BRAF変異群7例で比較すると術前化学療法群の方が、生存期間が長かった(MST;10.5ヶ月/1.0ヶ月、p=0.041)。【結語】Non-MSI、BRAF変異を伴うStage IV大腸癌は極めて予後不良であったが、多少の症状を有していても術前に積極的な化学療法を先行させることにより予後を改善させる可能性がある。再発大腸癌に関しては統計学的な有意差を認めなかったが、BRAF変異は予後不良な傾向を認め、今後さらなる症例の集積が望まれる。進行・再発大腸癌に対して、予後予測、治療方針の決定のために遺伝子情報を用いたバイオマーカーは有用である。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:バイオマーカー

前へ戻る