演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

蛍光標識による血中遊離癌細胞のLiquid Biopsy技術のバイオマーカー解析への応用

演題番号 : P84-7

[筆頭演者]
重安 邦俊:1,4 
[共同演者]
橋本 悠里:1、竹原 清人:1、宇野 太:1、永坂 岳司:1、田澤 大:1,2、香川 俊輔:1、浦田 泰生:3、藤原 俊義:1

1:岡山大学消化器外科学、2:岡山大学病院新医療開発センター、3:オンコリスバイオファーマ、4:岩国医療センター

 

【緒言】血中遊離癌細胞(Circulating tumor cell: CTC)の出現は、原発巣から血行性転移が形成される兆候を示す重要な臨床情報である。現在、EpCAMなどの上皮系マーカーを指標とするCTC検出法が開発されているが、上皮間葉系移行(Epithelial-Mesenchymal Transition: EMT)によって上皮系マーカーが失われた悪性度の高いCTCの検出が困難であるなどの課題がある。最近、我々はテロメラーゼ活性に依存して緑色蛍光タンパク質 (GFP)を発現するアデノウイルス製剤(TelomeScan)を用いた新規CTC検出システムを開発した(Kojima et al., J. Clin. Invest., 2009)。今回は、このシステムを用いてバイオマーカーとしてのCTCの遺伝子異常の解析法を確立したので報告する。【方法】KRAS遺伝子変異を有するヒト大腸癌細胞株(SW480、HCT116)10個を健常人血液5mlに加えたCTCモデルを作成した。赤血球を溶血除去した後、TelomeScanを24時間感染させ、GFP陽性かつ血球共通抗原CD45陰性細胞をフローサイトメトリー法で回収しDNAを抽出した。ダイレクトシークエンス法、変異特異的PCR法でKRAS遺伝子を解析したところ、遺伝子変異を検出可能であった。さらに、EpCAM陰性でKRAS変異を有するヒト膵癌細胞株Panc1、TGF-bでEMTを誘導したKRAS遺伝子変異を有するヒト肺癌細胞株A549や、KIT遺伝子変異を有するヒト消化管間葉系腫瘍細胞株GIST882を用い作成したCTCモデルでも同様に、遺伝子変異を検出できた。また、実際に、遠隔転移を有する大腸癌患者の血液からもCTCを回収し、原発巣と同じ遺伝子変異を検出できた。【考察】TelomeScanを用いたCTC検出システムは、フローサイトメトリー法や遺伝子解析技術と組み合わせる事で高感度かつ簡便にCTCの遺伝子変異を検出できる新たなツールとなる事が示唆された。また、従来のCTC検出法は、EpCAMやサイトケラチンなど上皮系のマーカーに依存しており、EMTを起こした癌細胞や間葉系腫瘍細胞由来のCTCを検出できない限界があったが、我々のシステムはこの限界を超える有用なツールとなりうる可能性が示唆された。Liquid Biopsyによるバイオマーカー解析は、低侵襲かつリアルタイムに癌細胞の生物学的特性を同定できる。【結語】TelomeScanを用いたCTCのバイオマーカー解析技術は、分子標的薬を含めた治療戦略の構築に有用であり、転移機序の解明や抗転移療法の開発につながる有用な解析法であると考えられた。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:バイオマーカー

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