演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

腹腔鏡下胃切除術における視野展開のための肝挙上器具ヘパリフトX®の使用経験

演題番号 : P82-1

[筆頭演者]
藤原 道隆:1,2 
[共同演者]
田中 千恵:2、小林 大介:2、神田 光郎:2、山田 豪:2、藤井 努:2、中山 吾郎:2、小池 聖彦:2、小寺 泰弘:2

1:名古屋大学大学院医学系研究科 クリニカルシミュレーションセンター、2:名古屋大学大学院医学系研究科 消化器外科学

 

【背景】腹腔鏡下胃切除や逆流防止手術において,術野展開のため肝左葉を圧排する種々の方法が行われている.腹腔鏡下胃切除後の肝機能障害について最初にEtohらが報告し(2007),Shinoharaらは,腹腔鏡下胃切除後の肝機能異常の程度が,肝圧排法によって異なり,堅いNathanson鉤より柔軟なペンローズを使用する方法の方が肝障害の程度が軽いと報告している(2010).他にも種々の方法が考案され行われているが,とりわけNathanson鉤の手技が簡便で,肝機能異常が起きても臨床経過に影響を及ぼすことがほとんどないので,使われることが多い.しかし,Nathanson鉤は,小彎や食道操作を行わない時にはゆるめる,という配慮が必要で,愛護的なペンローズ法においても,時に圧排された肝の梗塞所見を見ることがある,特に肝冠状間膜を切開してペンローズを背面に通す作業に少々慣れを要する,などの問題点がある.そこで,肝に愛護的で,かつ留置手技や圧排の強さ調節が簡便な器具をめざしてヘパリフトX®を開発した.【ヘパリフトX®の構造】5本の脚を有する成形加工したポリエステル製で,各脚に体外に誘導する牽引糸がついている(糸はエンドクローズで体外に引き出す).5本の脚は,メインの直線(主脚)の中央部から3本の支線が分枝する形となっている.主脚は,両端の糸が三角間膜切開部と右腹壁を通して体外に誘導され,肝左葉から右葉の肝下面,外側区域の背側に固定される. 3本の支脚が肝左葉を圧排する構造であるが,主脚を通すのが外側の三角間膜なので切開は容易で,この主脚は,3本の支脚の背側固定の役割だけで,肝臓を押さえるわけではないことが本器具のポイントである.支脚は3本とも常時必要なわけではないが,外側区域が大きい症例,腹部食道操作時に対応する際有用である.X線不透過ラインをポリエステルの本体内部にX型に通してある.【結果】2013年4月までに37例の腹腔鏡下胃切除術症例に使用した.肝圧排操作に要する時間は平均12分で,通常,肝酵素が最高値となる手術後1日めのGOT値は63.8+/-108.4 IU/L, GPT値は,67.1+/-130.6 IU/Lで,当科で過去に癒着などが原因で肝臓の圧排を行わなかった症例の73.5+/-64.4IU/L, GPT値は,69.1+/-66.2 IU/L と差がなかった.【結語】ヘパリフトXを用いた肝左葉圧排は簡便で肝に愛護的な方法である.

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:内視鏡手術

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