演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

根治的化学放射線療法で重症日和見感染を併発した切除不能食道癌の2例

演題番号 : P8-1

[筆頭演者]
内門 泰斗:1 
[共同演者]
奥村 浩:1、佐々木 健:1、大脇 哲洋:1、喜多 芳昭:1、尾本 至:1、松本 正隆:1、瀬戸山 徹郎:1、有上 貴明:1、石神 純也:1、夏越 祥次:1

1:鹿児島大学 消化器乳腺甲状腺外科

 

【はじめに】切除不能進行食道癌に対して,化学療法や化学放射線療法の治療中や治療後におこる有害事象のgradeは様々である.食道癌には治療効果が認められたにもかかわらず,免疫力低下による日和見感染症の診断や治療開始の遅れにより,死亡に至る場合もある.今回,われわれは,切除不能進行食道癌に対する根治的化学放射線療法中と治療後に重症のニューモシスチス・カリニ肺炎,サイトメガロ肺炎をきたした2例を経験したので報告する.【症例】症例1;70歳男性,嚥下困難を主訴に,当科に紹介された.胸部上部食道癌(UtCe), 右壁中心,長径6cm,cT4(気管),N3,M1(肺)で cStage IVbの診断となった.まずDCF療法を2コース施行したが,奏功度PDで,皮膚・骨転移が出現した.症状緩和のため原発巣と骨転移巣へ,放射線療法にDCF療法を併用した化学放射線療法を開始した.照射量20Gyの時点で38度の高熱,Grade4の白血球, 好中球低下,胸部X線検査で両肺野の浸潤影を認めた.サイトメガロ抗原陽性,ニューモシスチス・カリニ陽性の結果で,GCSF,抗生剤,グロブリン製剤に加えて,ガンシクロビル,ST合剤を使用開始し,人工呼吸器管理を行うことなく改善した.再度放射線療法を再開し,完遂可能であった.症例2;70歳男性,前胸部痛を主訴に当科に紹介された.胸部中部食道癌(MtUtLt),長径16cm,左壁中心亜全周性,2型,cT4(気管),N4(腹部大動脈周囲リンパ節),M0で,cStage IVaの診断となった.根治的化学放射線療法として,放射線総線量50.4Gy,化学療法はLow dose FPを行った.治療経過中,Grade3のWBC低下を認め,GCSF製剤を使用し,治療を完遂したが,終了後に発熱,Grade4のWBC低下,胸部X線検査で両肺野の浸潤影を認めた.サイトメガロ抗原陽性であったため,抗生剤投与と共にガンシクロビルを投与開始されたが,改善がみられなかった.喀痰によるニューモシスチス・カリニが陽性で,ST合剤を開始した.一時的にHigh Flow Nasal Cannulaを使用したが,気管内挿管は行うことなく改善した.【まとめ】切除不能進行食道癌にする化学療法や化学放射線療法で高熱や肺炎を起こした場合には,免疫力低下によるニューモシスチス・カリニ肺炎やサイトメガロ肺炎などの日和見感染症の可能性を常に念頭に置きながら,診断や治療を行うことが治療関連合併症による死亡を予防できると考えられた.

キーワード

臓器別:食道

手法別:集学的治療

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