一般演題(示説)
|
||
進行乳癌患者の難治性疼痛に対するオキシコドン注射剤の有用性の検討 演題番号 : P77-11
1:聖マリアンナ医科大学病院、2:聖マリアンナ医科大学付属 ブレスト&イメージングセンター
【背景】進行期の乳癌患者は腫瘍の増大,転移に伴う痛みが遷延して疼痛管理に難渋することがある。痛みは患者のQOLを大きく障害し,治療自体に支障を与えることも少なくない。オピオイドの経口投与,経皮投与では十分な疼痛緩和が得られない症例もあり,このようなケースでは代替投与経路としてオピオイドの静脈内投与,皮下投与を考慮する必要がある。【目的】当科外来で加療中の進行乳癌患者を対象に,難治性疼痛に対するオキシコドン注射剤の有効性,安全性を検討した。【方法】2012年10月から2013年4月までの期間中に,オピオイドの経口剤,貼付剤を2週間以上投与しても疼痛コントロール不良な進行乳癌患者をオキシコドン注射剤に切り替えて,疼痛強度の変化と有害事象の発現状況を観察した。疼痛強度はNRS(数値評価スケール),有害事象はCTCAE日本語版を用いて評価した。【結果】期間中7例がオキシコドン注射剤に切り替えられた。転移の状況は肺3例,骨,リンパ節各2例,脳,肝各1例であった(多発転移例含む)。先行オピオイドの内訳はフェンタニル貼付剤5例,オキシコドン徐放錠,モルヒネ徐放錠各1例であった。7例中4例で疼痛強度の改善が認められ,1例はケタミンの併用で鎮痛効果が発現したが,眠気の副作用のためにモルヒネ注射剤に変薬された。フェンタニル貼付剤からの変薬例については 2例が目安となる換算比の20%前後の用量で疼痛コントロール可能であった。疼痛強度の改善が認められなかった2例は,いずれも精神神経系の症状を合併していた。眠気の副作用で変薬した1例を除いて,Grade2以上の副作用は認められなかった。【考察】オキシコドン注射剤は進行乳癌患者の難治性疼痛に有用性を期待できる可能性が示唆された。フェンタニル貼付剤からの変薬に際しては,鎮痛プロファイルの違いなどを考慮して,慎重に投与量を設定する必要がある。抑うつや不安感などの精神的因子がオピオイドの鎮痛作用に及ぼす影響については,今後症例を集積してさらに検討を加える予定である。
|
||
|