演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

北陸初の医師主導型多施設共同乳癌臨床試験

演題番号 : P76-8

[筆頭演者]
井口 雅史:1 
[共同演者]
前田 基一:2、福島 亘:3、江嵐 充治:4、吉野 裕司:5、野崎 善成:6、大田 浩司:7、石井 要:8、尾山 佳永子:9、野口 美樹:10

1:金沢大学 消化器・乳腺・移植再生外科、2:富山県立中央病院 外科、3:富山市民病院 外科、4:八尾総合病院 外科、5:石川県立中央病院 乳腺内分泌外科、6:富山赤十字病院 外科、7:福井県立病院 外科、8:公立石川松任中央病院 外科、9:厚生連高岡病院 外科、10:金沢医科大学 乳腺内分泌外科

 

近年、全国規模のがんの医師主導型臨床試験が活性化する一方で、地方規模の多施設共同試験も行われるようになっている。しかし、地方規模の多施設試験は大学間や医局間の様々な問題もあり、全国規模の試験よりも足並みがそろわないことが多く、その活動には地域差があるのが現状である。北陸地区でもいくつかの癌の臨床試験が行われているが、単施設が多く多施設であっても大学関連のグループによる試験がほとんどである。今回、北陸地区で初めての乳癌の多施設共同臨床試験が現在進行中であるためその現状と問題点を報告する。試験目的は、HER2陽性乳癌に対する術前3週毎アルブミン懸濁型パクリタキセル(nabPAC)+トラスツズマブ療法とFEC療法の順次投与の有効性と安全性を明らかにすることである。主要評価項目は組織学的完全奏功率であり、副次的評価項目は、臨床的奏効割合、組織学的治療効果、乳房温存割合、有害事象の発現頻度である。目標症例数は35例で、登録期間は2012年8月1日~2014年7月31日で、試験期間は2015年3月31日までを予定している。2013年4月30日現在、北陸地区の2大学を含む10施設がIRBを通過しており、9例の登録が行われている。登録が順調な理由としては、斬新な試験デザインではないが、前処置が不要で点滴時間が短いnabPACを初期治療でも使用したいという実臨床に即した試験であり、他施設の先生方からも共感を得られたことが要因と考えられた。 がんの医師主導型多施設共同研究は、全国規模で行われている多くの症例数が必要なPhase3試験に比べて、観察研究や単群のPhase2試験は症例数が少なくて済むため、単施設や地方規模でも実現可能である。しかし、乳癌はサブタイプ別に細分化して治療を考える時代になっており、以前のような単施設では十分な症例数が蓄積しにくくなっている。そのような背景からも今後は多施設で共同して症例を統合解析する必要がある。全国規模の臨床試験への北陸地区からの登録数が少ないことも問題であり、身近な臨床試験に興味を持ってもらうことから始めるという狙いもある。今後は、データセンターやスポンサーの確保などの問題が挙げられるが、北陸地区の施設が一体となって乳癌の予後向上に貢献できるよう努力していきたいと考えている。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:臨床試験

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