演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

心筋転移を伴う全身転移を認めた浸潤性小葉癌の1例

演題番号 : P74-14

[筆頭演者]
伊藤 恵理子:1 
[共同演者]
野木 裕子:1、神尾 麻紀子:1、加藤 久美子:1、鳥海 弥寿雄:1、武山 浩:1

1:東京慈恵会医科大外科学講座

 

今回、我々は心筋転移を伴う全身転移を認めた浸潤性小葉癌の1例を経験したので報告する。【症例】70歳、女性。【既往歴】22歳時に胃十二指腸潰瘍に対し胃亜全摘術(Billroth-I法再建術)、造影剤アレルギーあり。【治療歴】2003年2月(62歳)、左乳癌にて乳房切除術+腋窩リンパ節郭清術を施行し、浸潤性乳管癌(T4bN1M0 Stage IIIb、ER +, PgR +, HER2 -)と診断した。術後補助療法として乳房放射線療法、Anastrozoleの内服治療を施行。化学療法はDPD欠損にてCEFを1回で中止した。2006年3月(65歳)、右乳癌にて乳房切除術+SNBを施行し、浸潤性小葉癌(pT1cN0M0 StageI、ER +, PgR -, HER2 -)と診断した。術後、Toremifeneに変更した。2010年(69歳)、通過障害が強く食事摂取困難なため精査したところ、胃壁の肥厚や内腔狭小化を認め、胃癌もしくは乳癌の胃転移を疑った。胃空腸バイパス術を施行し、迅速診断にて浸潤性小葉癌の転移と診断した。術後、PaclitaxelやVinorelbineを使用したが、右腋窩リンパ節、骨、肝転移、腫瘍マーカーの増悪を認め、QOLの著明な低下から化学療法は中止とし、Exemestaneへ変更した。全身状態は一進一退を繰り返し、2011年3月(70歳)に永眠した。本人の生前希望により病理解剖を施行したところ、心筋、肝、肺実質、消化管、後腹膜臓器や女性生殖器、骨など全身への転移を認め、転移巣はいずれも浸潤性小葉癌だった。浸潤性小葉癌は乳癌全体の3~5 %を占め、特殊型のなかでも最も頻度が高い組織型の一つとされている。また、浸潤性小葉癌の遠隔転移については浸潤性乳管癌と同程度の頻度とされている。遠隔転移臓器としては、軟髄膜や腹腔、消化管、女性生殖器への転移が多いとされ、肺や肝、脳実質は少ないとされている。今回、病理解剖により全身転移の詳細をみることができ、希少な心筋転移も認めたので、若干の文献的考察を含め報告する。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:集学的治療

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