演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

乳癌術後内分泌療法後に妊孕性を保持できた1例

演題番号 : P74-7

[筆頭演者]
成松 英俊:1 
[共同演者]
嶋田 恭輔:1、川口 正春:2、久保内 光一:2、南雲 吉則:3、中村 威:1、玉川 英史:1、石川 修司:1、有澤 淑人:1、橋本 光正:1、品川 俊人:1

1:川崎市立井田病院 、2:よこはま乳腺・胃腸クリニック、3:ナグモクリニック

 

【はじめに】 乳癌術後の妊娠、出産に関しては標準とされる定説はなく、本邦報告例も今だ少ないと思われる.今回我々は、乳癌術後ホルモン療法後に、正常妊娠および出産に至った症例を経験したので報告する.【症例】 症例、30歳女性.左乳房のしこりで当院を受診.左乳腺C領域に32.7x26.2mm大の腫瘤を触知.針生検で、 Invasive ductal carcinoma (scirrhous Ca.)と診断した.精査の結果、リンパ節・遠隔転移を認めず、病期:T2N0M0(stage IIA)と診断した.この時点で、本人より挙児希望であることを告げられ、十分なImformed Consent(IC)の結果、乳腺に関しては、根治度を確実にする事、術後放射線照射の省略、術後の美容性を考慮して、左乳頭温存乳房切除術およびセンチネルリンパ節生検(SN)、一期的乳房再建術をお勧めした.当時、当院では乳房再建は行っていなかったため、手術は他院で施行となった.手術病理結果は、SN=0/3(陰性)、NG:grade-1、ER(3+)、PgR(3+)、HER2(-)であった.年齢が35歳以下とhigh riskに相当するが、核異型度も低くホルモン高感受性であることから、術後補助療法はTamoxifenおよびLH-RH agonistによる内分泌療法とした.術後2年経過した時点で明らかな再発・転移の所見を認めないため、本人と再度ICを十分に行い、妊娠に挑戦することになった.TamoxifenおよびLH-RH agonistの投与終了後、8か月後に月経再開し、その4か月後に妊娠した.その後は正期産にて健常な男児を出産し、先天奇形などの合併症もなく母子ともに現在に至るまで健康である.産後は乳癌に対して特に治療はしていないが、術後5年経過した現在、明らかな再発・転移は認めていない.【まとめ】 若年性乳癌術後の妊孕性については、これまでも数々の議論がなされてきているが、今だcontroversialと思われる.今後も、若年性乳癌患者の増加により妊孕性の問題は無視できないと考え、今回我々は、乳癌術後ホルモン療法後に正常妊娠および出産に至った症例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する.

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