演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

癌治療に合併する脳梗塞

演題番号 : P72-12

[筆頭演者]
高橋 英明:1 
[共同演者]
宇塚 岳夫:1

1:新潟県立がんセンター新潟病院 脳神経外科

 

<目的>癌患者の脳梗塞は、Trousseau症候群として知られている。特に進行癌においては、治療中に脳梗塞症状を呈し、その後急速にDICへ移行し、血小板の低下とともに死に至ることがある。当院は癌の地域拠点病院として多くの癌患者を診ており、神経症状発現時に血中Dダイマーが高値を示し、MRI拡散強調画像で多発血栓の存在を特徴とするいわゆる狭義のTrousseau症候群をしばしば経験してきた。今回DICへ移行し易い予後不良な脳梗塞を選別するためのTスコアを提唱し、その有用性を検討した。
<対象ならびに方法>2007年1月から2012年12月までに当院における脳卒中患者124例中、癌の既往のない患者は30例であった。残りの担癌患者の脳卒中症例94例のうち、脳出血は18例で、担癌患者の脳梗塞は全部で76例であった。その76例を対象として癌種、MRI画像、Dダイマー値、血小板数によりスコア化し、その変化も加味して脳梗塞患者を点数別に予後を検討した。Tスコアは、0点から最大14点で、7点以上はDIC高リスクのTrousseau症候群と判断した。患者は42歳から96歳、平均73歳であった。男性43例、女性33例である。
<結果>原発巣は肺癌16例、大腸がん9例、泌尿器系癌8例、婦人科癌7例、膵癌5例、他31例であった。症状は片麻痺が25例と多かったが、失行や単麻痺など脳梗塞と判断しづらい症状も22例と多かった。失語症は10例に認められ、無症候例は6例であり、その他13例であった。直前1か月以内の癌治療としては手術15例、放射線6例、化学療法21例であった。Tスコア1–3点では80%が2年以上生存あり、観察期間100週でMSTは未達、Tスコア4–6点ではMSTは50週、Tスコア7–9点でMSTは9週、Tスコア10–12ではMSTは5週であった。Tスコア7点以下では優位に生存期間が短かった。
<結語>癌患者の脳梗塞は、進行癌において化療や感染などを引き金に全身の凝固異常から致命的なDICへ移行させる全身血栓化の始まりであり注意を要する。Tスコアは癌に合併した脳梗塞患者のDIC高リスク群を選別するのに有用と思われた。

キーワード

臓器別:脳神経

手法別:診断

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