演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

転移性脳腫瘍に対する手術の適応と役割

演題番号 : P72-6

[筆頭演者]
有田 英之:1 
[共同演者]
成田 善孝:1、宮北 康二:1、大野 誠:1、米澤 元樹:1、角 美奈子:2、渋井 壮一郎:1

1:国立がん研究センター中央病院 脳脊髄腫瘍科、2:国立がん研究センター中央病院 放射線治療科

 

<目的>転移性脳腫瘍に対する放射線治療や薬物療法が近年発達したが、速やかに治療効果が得られる外科的切除はなお重要な選択肢である。手術適応には脳以外の病巣の生命予後が6か月以上あることが一般に必要とされている。当院では原発巣の主治医の判断で6か月以上の予後が期待され、髄膜癌腫症の所見がないことを手術の基本的な適応としてきた。当院の手術例の経過をもとに転移性脳腫瘍の手術適応と役割を再検討した。
<方法>2000年1月より2011年12月の間に当院で転移性脳腫瘍を切除した264症例を対象に、術前・術後の臨床経過を検討した。特に、初回手術より6か月以内の死亡を早期死亡例とし、その経過・死因を調査した。
<結果>全症例の生存期間中央値(MST)は12.4か月、手術関連死(30日以内)は1.5%、永続的神経症状悪化は4.2%だった。手術1か月後のKPSの変化は53%で術後より改善、40%で不変、7%で悪化だった。早期死亡例は62例(23%)だった。早期死亡例の原発巣は肺がん(39%)、乳癌(18%)、大腸癌(10%)の順に多く、全症例の内訳と差はなかった。術前・後のKPS不良(70未満)、術後の全身療法がなされていないこと、頭蓋外病巣の制御がされていないことが、単変量解析で早期死亡に関わる因子だった。多変量解析ではこれらのうち、術前KPS不良以外の因子が有意となった。さらに術後治療方針に基づき(a)頭蓋外病変がなく全身薬物療法を行わず経過観察となった(b)頭蓋外病変に対し全身薬物療法をおこなった(c)頭蓋外病変があるが緩和医療に移行した、の3群に分類したところ、MSTはそれぞれ20.8か月、12.4か月、5.0か月であり、早期死亡の割合はそれぞれ12%、16%、56%だった。
<考察>脳転移の手術適応を考える上で、生命予後や症状の改善といったメリットが得にくい例を除外することが重要と考えられる。本検討から、手術によりKPSが改善する見込みの低い例、全身療法の予定がない例は生存期間が短く、手術適応は慎重に検討する必要がある、と考えられる。

キーワード

臓器別:脳神経

手法別:手術療法

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