演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

転移性脳腫瘍治療における脳神経外科医の役割 -162例の外科的治療より考察-

演題番号 : P72-4

[筆頭演者]
奥田 武司:1 
[共同演者]
吉岡 宏真:1、田崎 貴之:1、藤田 貢:2、加藤 天美:1

1:近畿大学医学部附属病院 脳神経外科、2:近畿大学医学部附属病院 細菌学

 

(目的)近年の癌治療発展に伴い,進行癌症例の生命予後は飛躍的に向上している.一方,生存期間の延長は転移性脳腫瘍症例を増加させ,更なる癌治療発展には転移性脳腫瘍コントロールが重要な鍵となる.当施設では転移性脳腫瘍を含む進行癌症例に対して,腫瘍内科を主とした関連各科が定期的に合同カンファレンスを行い,職種横断的に治療検討を行っている.最近の転移性脳腫瘍治療は分子標的薬剤の登場もあり複雑多様化しているが,この中でも脳神経外科医が主体となる治療は外科的治療を要する症例である.そこで,自験162例の転移性脳腫瘍手術症例より治療成績を検証し,癌治療,特に転移性脳腫瘍治療における脳神経外科医の役割について考察する.(対象と方法)対象は2004年から2011年までに当科にて外科的治療を行った162例(転移性脳腫瘍145,髄膜癌腫症17)である.術式内訳は摘出術140例,脳室腹腔短絡術6例,オンマヤ貯留槽留置術14例(脳室内11,腫瘍内3),神経内視鏡手術2例(腫瘍生検1,第3脳室底開窓術1)であった.(結果)摘出術140例では全例の生存期間中央値は9.8ヶ月(単発10.4ヶ月,多発9.3ヶ月)であり,転移個数による生存期間に有意差は認めず(p=0.565),高い症候改善率(86%)を有した.髄膜癌腫症では11例にオンマヤ貯留槽より髄腔内化学療法を行い,6例に脳室腹腔短絡術を行った.髄腔内化学療法施行例では79%に症候改善を認め,生存期間中央値は3.8ヶ月であったが,1年生存率は18%と良好な結果を得た.また,脳室腹腔短絡術例においても生存期間中央値は3.2ヶ月であるが症候改善率は100%であった.オンマヤ貯留槽の腫瘍内留置例も全例において症候改善が得られ,神経内視鏡手術でも低侵襲で目的を達することができた.(考察)従来,転移性脳腫瘍治療における外科的治療は,余命の限られた担癌患者に対して高侵襲な治療手段と認識されており,このため治療適応も長期予後が期待できる症例に限定される傾向にあった.本検証により,多発脳転移や髄膜癌腫症などの積極的治療の対象外であった症例に対しても有用性が高いことが示された.転移性脳腫瘍治療において,脳神経外科医が各種外科的治療を駆使することにより生存期間延長のみならず,緩和的観点からも多大な貢献ができうるものと考えられた.

キーワード

臓器別:脳神経

手法別:手術療法

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