一般演題(示説)
|
||
中心静脈リザーバー長期留置によりカテーテル断裂を生じた2例の検討 演題番号 : P71-10
1:独立行政法人国立病院機構 東京医療センター クリティカルケア支援室、2:独立行政法人国立病院機構 東京医療センター
【はじめに】皮下埋め込み型中心静脈リザーバー(CVポート)は大腸癌等の化学療法における抗癌剤投与経路として多く用いられている。最近、CVポート造設後長期間経過後にカテーテルの断裂を生じカテーテルの摘出を要した2例を経験したので報告する。【症例1】41歳男性。Stage IV小腸癌術後に左鎖骨下静脈穿刺法によりCVポートを造設し、FOLFOX6およびFOLFIRI療法を施行していた。3年7か月経過後、薬剤注入時に左鎖骨下に疼痛が出現し増強するようになった。カテーテル損傷を疑い局所麻酔下にカテーテルを摘出し、鎖骨下静挿入部直前の位置に0.5mm大の小孔が確認された。患者はゴルフの練習を繰り返していたため、ピンチオフによるカテーテル損傷と考えられた。ポートの抜去は不要と判断し、カテーテルのみを交換して化学療法を継続中である。【症例2】73歳男性。直腸癌術後肝転移に対し肝部分切除術を施行し、FOLFIRI療法の目的で左鎖骨下静脈穿刺法によりCVポートを造設した。4か月経過し、再発を認めないため本人の希望により化学療法を中断したが、再燃に備えてCVポートは留置したままとしていた。造設2年9か月目に近医で胸部単純X線によりカテーテルの鎖骨下での完全断裂を指摘され、無症状であったが当院へ緊急入院となった。患者は上肢を動かす体操をしていたため、ピンチオフによるカテーテル損傷と考えられた。右大腿静脈より血管造影用カテーテルとバスケット鉗子を用いて上大静脈側よりカテーテルを摘出したが、摘出直前にカテーテルの一部が再断裂し、右肺動脈の末梢に迷入し摘出不能となった。ポートを摘出し、経過観察中であるが、特記すべき異常は認めていない。【まとめ】化学療法による治療成績が向上して生存期間の延長が得られるとともに、CVポートの留置期間も長期化しつつある。一方、QOLの改善により日常生活における活動性も向上し、カテーテル損傷のリスクが増大することが危惧される。化学療法を安全に継続するためには、特定看護師としてもCVポート挿入法、挿入部位の状態などの情報を治療チーム内で共有し、カテーテル損傷の兆候の早期発見、患者自身への日常生活指導と教育などに積極的に関わっていくことが必要であると考えられた。
|
||
|