演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

癌性腹膜炎による難治性腹水に対するDenver shuntの効果

演題番号 : P68-10

[筆頭演者]
織井 崇:1 
[共同演者]
北原 弘恵:1、唐澤 幸彦:1、森川 明男:1、吉村 昌記:1、奥村 征大:1

1:昭和伊南総合病院 外科

 

癌性腹膜炎による難治性腹水は保存的治療に抵抗性であり、緩和治療を進める上で大きな障害となる。腹腔−静脈シャントであるDenver shuntは腹水を直接大静脈内に還元させる方法だが、癌性腹膜炎の腹水中には癌細胞が浮遊しており、癌の全身播種による癌症状の悪化、血栓形成などが危惧されるため、あまり普及していないのが現状である。今回我々は癌性腹膜炎による難治性腹水症患者に対してDenver shunt造設を行い、有効性が確認されたため報告する。【対象と方法】癌性腹膜炎患者(腹水細胞診は全員Class 5を確認)6例にDenver shuntを造設した。年齢は33〜81歳、性別は男3例、女3例で、原疾患は膵癌3例、胃癌、大腸癌、乳癌が各1例ずつであった。術前全員に利尿剤による内科的治療が行われ、5人に腹腔穿刺(CARTを含む)が行われた。シャント造設前の病脳期間は21〜125日であったが、125日の1例は術前に8回のCARTを施行していた。静脈側カテーテルは全症例右あるいは左鎖骨下静脈より挿入した。腹水還元開始直前にステロイド剤を静注し、術後DIC発症予防目的でメシル酸ガベキサートを1週間程度持続静注した。またシャント閉塞予防目的でシャントバルブのパンピングを朝昼夕に各20回ずつ行った。【結果】6例中1例を肺動脈塞栓で術後2日目に失った。5例のシャント造設後の生存期間は、46日、645日、49日、98日、67日で、乳癌の1例で最も長期間であった。4例は術後退院、外来フォローが可能であった。全例死亡時までシャントは開存していた。術後FDPあるいはD-dimerは高値となったが、臨床的DICに陥った症例はなかった。SSIも発生しなかった。5例中3例で腹満感の苦痛から解放され、2例では腹満感は残るも術前よりは症状緩和が得られた。この不十分であった2例はいずれも膵癌患者で、腹膜転移による結腸閉塞からの膨満感が加わった症例と、腹腔内が癌によって分画化され、シャントチューブ挿入部位しかシャントが機能しなかった症例であった。【結論】Denver shuntは手技が容易であり、開存性は良好で、目立った合併症もないため、癌性腹膜炎による難治性腹水患者に対しても、その症状緩和に有効な治療となり得る、と考えられた。

キーワード

臓器別:その他

手法別:緩和医療

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