演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

KM-CARTによる癌性腹水に対する積極的症状緩和と新たな治療戦略

演題番号 : P68-5

[筆頭演者]
松崎 圭祐:1 
[共同演者]
太田 惠一朗:2、吉澤 明孝:1

1:要町病院 腹水治療センター、2:湘南鎌倉総合病院オンコロジーセンター

 

【目的】癌性腹膜炎に伴う大量の腹水は、強い腹部膨満感や呼吸苦などを生じて患者のADLを著しく低下させるだけでなく、オピオイドでは緩和が困難であり、抗癌治療の中止につながるために患者の生きる希望を奪ってしまう。難治性腹水治療法として1981年に腹水濾過濃縮再静注法(CART)が保険承認されているが、癌性腹水は早期の膜閉塞により処理困難なために全く普及していないのが現状である。我々は2009年から多量の癌性腹水に対応可能で、より簡便な改良型のKM-CARTシステムを考按し、積極的に施行している。腹水を最大27Lまで全量抜水してKM-CARTを行い、回収自己蛋白を血管内に点滴している。今回、KM-CARTの症状緩和効果を調査するとともに膜洗浄液から回収された多量の癌細胞がオーダーメイド治療に活用可能と考えられたので報告する。【方法・成績】2009年2月から2013年3月の間にKM-CARTを施行した症例は卵巣癌:155例、胃癌:109例、大腸癌:102例、その他:406例の計772例である。腹水は1.6~27.0L(平均6.8L)と可能な限り抜水し、所要時間は5~221分(平均64分)で、処理速度は平均9.8分/L、濾過濃縮液:100~2000ml(平均620ml)を作成し、点滴静注した。副作用は軽度の発熱程度で重篤な副作用は認めなかった。KM-CART前日並びに翌日にアンケート調査を行いえた87例では全例で腹部膨満感、呼吸苦、食欲不振、歩行障害など10項目の症状スコアが改善するとともに浮腫の軽減により下腿周囲長も平均2.8cm縮小し、患者のADL改善に有効であった。また闘病意欲の回復により化学療法を再開し、長期の在宅移行が可能となった症例を認めた。また卵巣癌等14例で濾過膜洗浄液から回収された癌細胞数はいずれも24万個以上であり、DCワクチン療法に利用可能であった。また培養翌日には多数の生細胞が生着、スフェロイド形成を認め、8日目には盛んな増殖を示していた。ワクチン継続投与できた大腸癌症例では42コースの化学療法後の大量腹水に対して、2週間ごとのKM-CARTとの併用で5か月間の在宅療養が可能であった。【結論】KM-CARTシステムは安全性が高く、大量の自己蛋白を回収することにより、自覚症状とともに全身状態、栄養、免疫状態の改善が期待でき、より良質な症状緩和につながるものと考えられた。また回収癌細胞が、薬剤感受性試験や免疫細胞療法に活用できるため、今後癌性腹水に対する新たな治療戦略へと発展するものと考えられる。

キーワード

臓器別:その他

手法別:医療機器・医療工学

前へ戻る