演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

Chronic expanding hematomaと鑑別を要したspindle cell sarcomaの1例

演題番号 : P66-12

[筆頭演者]
延藤 博朗:1 
[共同演者]
井上 博幸:1、村上 祐司:1、西田 幸司:1、永松 将吾:1、松原 紀昌:1、坂 英樹:1、西阪 隆:2、望月 由:1

1:県立広島病院 整形外科、2:県立広島病院 病理

 

【はじめに】Chronic expanding hematomaは, 1980年にReidらにより長期間で緩徐に増大する血腫として提唱され,軟部腫瘍との臨床的な酷似性に関してはすでに指摘されている.今回われわれは,Chronic expanding hematomaと鑑別を要したUndifferentiated spindle cell sarcomaの1例を経験したので報告する.【症例】38歳 男性.約13年前,交通事故にて左脛骨開放性骨折を受傷,前医にて軟部組織欠損に対し広背筋皮弁,開放性骨折に対し創外固定術を施行され当院受診となった.創治癒後創外固定除去し髄内釘固定を施行したが,偽関節となったため術後約4年の時点で骨移植およびPlate固定を施行し骨癒合が得られた.初回手術後約12年,左下腿外側広背筋皮弁中枢端部に約2cm大の無痛性の腫瘤形成が認められ,3か月の経過観察で12cm大へと増大傾向が認められた.MRIでは,T1-WI低輝度,T2-WI低輝度~高輝度の混在した被膜様構造を伴う不均一な腫瘤陰影が下腿中枢外側~末梢内側にかけてPlateに沿うように認められたため,Chronic expanding hematomaを疑い切除を施行した.摘出標本は,異型を示すspindle ~ short spindle cellの密な増殖が主体であり,線維化を伴い,血管の介在も認められ,mitosisは容易に観察された.免疫染色所見と併せUndifferentiated spindle cell sarcomaの病理診断であった.下腿の広範囲に腫瘍が進展しており,また画像上骨内浸潤も認められたことより大腿切断術を施行,同時期腫大した数個の鼡径リンパ節も認められたため切除生検を施行した.現在術後化学療法継続中であるが,明らかな再発・転移は認められていない.【考察】Chronic expanding hematomaの発生機序は慢性硬膜下血腫様で,血液破壊成分が炎症を惹起し,その炎症により透過性が亢進した新生毛細血管より出血を繰り返すことにより,慢性の経過で徐々に増大すると考えられている.外傷を契機にする場合や手術後数年を経て発症することが多く,診断においてこれら既往の有無が重要である.本症例では,外傷・手術の既往があり13年を経て緩徐に増大する腫瘤を認め,手術部位に沿い広範囲に進展していたことより,術前Chronic expanding hematomaを最も疑い手術を施行したが,画像上悪性腫瘍との鑑別は容易でなく,新たな腫瘍発生の可能性も念頭に置くべきであったと考えられた.

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:その他

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