演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

低悪性度脱分化型脂肪肉腫と混合型脂肪肉腫

演題番号 : P66-11

[筆頭演者]
青野 勝成:1 
[共同演者]
新谷 康介:1、松村 昭:1、香月 憲一:1、福島 裕子:2、井上 健:2、小西 英一:3

1:大阪市立総合医療センター 整形外科、2:大阪市立総合医療センター 病理部、3:京都府立医科大学 大学院計量診断病理学

 

【はじめに】脱分化型脂肪肉腫(DDLPS)は高分化型脂肪肉腫(WDLPS)から悪性度を著明に上げて非脂肪性の肉腫を呈するが、低悪性度脱分化型脂肪肉腫(LG-DDLPS)は、脱分化したにもかかわらず、組織学的に悪性度の低い脂肪系の脱分化をきたすとされる。また、混合型脂肪肉腫(MTLPS)は、粘液型脂肪肉腫(MLS)にWDLPS/DDLPSを併発したものとWHO分類されている。今回我々は、それらの脂肪肉腫と考えられる各々1例を経験したので報告する。【症例1】41歳女性。左下肢浮腫の精査で左鼠径部に弾性硬の腫瘤を指摘された。CTで径4cmの多房性腫瘍が左大腿動静脈に乗るような形で認められた。生検では紡錘型核を有する細胞増殖を認め、MIB-1陽性細胞は散見される程度で低悪性度粘液性腫瘍が疑われた。広範切除術を施行したが、Second Opinionの結果、切除縁とした後腹膜脂肪組織に異型の脂肪細胞を認め、WDLPSが疑われ、腫瘍本体はその周囲組織より脱分化したLG-DDLPSと確定診断された(WDLPSで高頻度に陽性となるCDK4、MDM2は、いずれの組織でも陰性であった)。現在術後約2年半であるが、明らかな再発や転移は認めていない。【症例2】72歳男性。坐骨神経痛の精査で右背部に巨大腫瘍を指摘された。MRIで腫瘍は長径20cmと右側脊柱起立筋を中心に拡がり、腫瘍中央部径8cmの粘液状、周縁は脂肪と同等の輝度を呈していた。針生検でMLSと診断されたが、臨床的にはDDLPSが疑われた。周囲の脂肪様病巣を含めて辺縁切除を施行した。病理所見でも、中央部はMLSの所見であったが、周囲脂肪様の組織には脂肪芽細胞を認めてWDLPSの所見であった。さらに径1.5cmほどの平滑筋肉腫様の未分化な組織箇所を認め、総合的にMTLPSと確定診断された。分子生物学的検索では、MLSの組織はTLS-CHOPなどのfusion geneは陰性であったが、WDLPSの組織はMDM2染色(+)であった。現在術後約7ヶ月で、明らかな再発や転移は認めていない。【考察】「low gradeの脱分化型」や「mixed-type」の脂肪肉腫の報告は1997年にされている。これらの用語は組織所見を表現するための問題もあり、脂肪肉腫の組織学的悪性度のスペクトルを考えると、このような脂肪肉腫のvariantの把握のためには、向後、分子生物学的な検討が必要になると考えられた。また、これらの診断名が臨床結果に反映するかどうかは、今後も症例群の注意深い経過観察と、稀少がんである肉腫の集約的な解析が必要であると考えられた。

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:診断

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