演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

発生部位,大きさ、血液検査値で軟部腫瘍の良悪性の鑑別は可能か

演題番号 : P66-6

[筆頭演者]
藤渕 剛次:1 
[共同演者]
木谷 彰岐:1、中田 浩史:1、三浦 裕正:1

1:愛媛大院 整形外科学

 

【目的】軟部腫瘍は比較的まれなうえに種類が多く,良悪性の鑑別すら困難な症例が多々存在する.さらに,軟部腫瘤を主訴とする患者さんはこれを専門とする医師を初診するとは限らず,適切な診断がなされない場合,治療の遅れや不適切切除につながる.この研究の目的は,骨軟部腫瘍を専門とする医師以外にも判断可能な項目を用いて軟部腫瘍の良悪性を推測することは可能であるか,また,良悪性の診断に関連のある項目は何かを明らかにすることである.
【対象と方法】対象は2003年4月より2011年3月までの間に当科において入院加療を行った原発性良性軟部腫瘍312例,原発性悪性軟部腫瘍78例である.これらの症例に対し,発生部位(深部あるいは皮下),初診時のCTあるいはMRI画像上の腫瘍最大径,白血球数,CRP,ヘモグロビン(Hb),LDH値を調査しこれらが軟部腫瘍の良悪性と関連があるか否かを検討した.
【結果】良性軟部腫瘍群は平均年齢53.5歳,深部発生例の占める割合58.7%,腫瘍最大径平均57.5mm,白血球数5.86χ102/mm3,CRP0.138mg/dL,LDH190.6IU/L,Hb14.03g/dLであった.これに対し,悪性軟部腫瘍群は平均年齢57.1歳,深部発生例65.4%,腫瘍最大径平均99.3mm,白血球数6.84χ102/mm3,CRP1.667mg/dL,LDH268.7IU/L,Hb13.27g/dLであった.良悪性腫瘍間で発生部位に統計学的有意差は認められなかった.また,男女比,年齢にも2群間で明らかな差は認められなかった.腫瘍の大きさ,白血球数,CRP,LDH値は悪性腫瘍にて有意に高値を,Hbは低値を示した.さらに腫瘍の大きさは5cmを基準として,血液検査値はその正常範囲上限あるいは下限を基準として2群に分けた場合,悪性腫瘍では腫瘍最大径が5cm以上,白血球9.10χ102/mm3以上,CRP0.20mg/dL以上,LDH253IU/L以上,Hb11.3g/dL以下である症例の割合が有意に高かった.
【考察】一般的には深部発生で最大径5cm以上の軟部腫瘍は悪性の可能性が高いとは言われている.今回の検討では発生部位と腫瘍の良悪性とは明らかな関連は認められなかったが,悪性腫瘍は最大径5cm以上のものが多く,また,白血球数,CRP,LDH,Hbは悪性腫瘍では異常値を認めるものが多いということが示された.基本的には軟部腫瘍は骨軟部腫瘍の専門医に紹介すべきではあるが,腫瘍最大径,血液検査値より悪性腫瘍が疑われる場合にはなおさら専門施設にて精査,治療を行うことが望ましいと考えられる.

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:診断

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