演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

前立腺全摘出術後の尿禁制の回復は、術前MRIにおける骨盤底筋所見が予測因子となる

演題番号 : P65-5

[筆頭演者]
佐竹 洋平:1 
[共同演者]
斎藤 英郎:1、荒井 陽一:1

1:東北大学 大学院医学研究科泌尿器科学分野

 

目的:前立腺全摘出術後の合併症として尿失禁はQOL低下の主な原因となる。その要因の1つとして骨盤底筋が影響すると考えられている。そこで術後尿禁制の回復と骨盤底筋との関連について調査するため、我々は当施設で行った前立腺全摘出術症例の骨盤MRIにおいて、骨盤底筋群の厚さが術後尿禁制に関連するかどうかを検討した。対象:2007年から2010年の間に骨盤MRIを施行し、骨盤底筋群の厚さを測定した276例のうち、前立腺癌と診断され当施設で恥骨後式前立腺全摘出術を施行した121例。平均年齢は61.3歳、clinical T stageの内訳はT1c 96例、T2a 18例、T2b 4例、T2c、2例、T3a 1例。方法:術前のMRI(3 テスラ)で撮影された画像の矢状断および冠状断を用いて骨盤隔膜(PD)、肛門挙筋(LA)の厚さを測定、さらに前立腺体積を積分法にて測定した。尿禁制はEPIC(Expanded Prostate Cancer Index Composite)を用いて「過去4週間に尿失禁がめったになかった、または全くなかった」と回答したものを尿禁制ありと定義し、術前、および術後1,3,6,12,18,24ヶ月に評価した。EPIC回収率は術前94%、術後はそれぞれ94, 87 ,88,93, 91, 83, 82%であった。術後に尿禁制を獲得した群と尿失禁群の間で、骨盤底筋の各測定値および年齢、体重、手術時間、術中出血量、神経温存の有無について比較検討を行った。結果:全体の尿禁制は術前, 1, 3, 6, 12, 18, 24ヶ月でそれぞれ17, 24, 41, 50, 54, 55%であった。術後尿禁制は術後1, 3, 6ヶ月において矢状断で測定したPDの厚さ(PDs)と関連していた(p=0.036, 0.034, 0.036)。その他の骨盤底筋の所見および前立腺体積と尿禁制との関連はみとめなかった。術後3ヶ月で術前体重および手術時間は尿禁制との関連をみとめた(p=0.010)。PDsのcut off値を6.5mmに設定しPDs≧6.5mm群とPDs<6.5mmの間で比較すると、術後3, 6, 12ヶ月においてPDs≧6.5mm群で有意に尿禁制率が高かった(p=0.004, 0.013, 0.028)。多変量解析においても、PDs値は術後3か月(p=0.010)および12か月(p=0.049)の時点で有意な関連をみとめた。結論:術前のMRI矢状断で測定した骨盤隔膜の厚さ(PDs)は、術後12か月までの尿禁制に関連しており、これが薄い患者は術後尿禁制の回復が不良であった。骨盤隔膜の厚さは術後尿禁制回復の予測因子となり、前立腺癌患者が治療を選択する際のinformed consentに有用であると考えられる。

キーワード

臓器別:前立腺・男性生殖器

手法別:QOL

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