演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

内分泌療法抵抗性となった転移性乳癌に対するエストロゲン療法の有効性

演題番号 : P6-8

[筆頭演者]
市川 茉莉:1 
[共同演者]
岩田 広治:1、藤田 崇史:1、澤木 正孝:1、服部 正也:1、近藤 直人:1、堀尾 章代:1、権藤 なおみ:1、井戸田 愛:1

1:愛知県がんセンター中央病院 乳腺科

 

【背景・目的】 閉経後、進行再発乳癌に対する内分泌療法は、エストロゲン機能抑制を目的とした抗エストロゲン薬(SERM、SERD)、エストロゲン合成阻害を目的としたアロマターゼ阻害薬(AI)が中心となっている。以前よりそれらの内分泌療法に抵抗性となったエストロゲンレセプター(ER)陽性乳癌に対して、エストロゲンを投与することで臨床的な効果が得られることが報告されている。本邦において、閉経後の進行再発乳癌に対してエストロゲン療法は保険収載されているが、その有用性・有害事象についてまとまった報告はないため自験例から後方視的に検討することを目的とした。【患者】2011年11月~2013年3月までに、当科でエストロゲン療法を施行した22例。【結果】年齢中央値は67歳、全例がER陽性/HER2陰性、本治療前の内分泌療法レジメンの中央値は4(1~7)であった。投与量に関して、19例はエチニルエストラジオール(EE2、プロセキソール)1.5mg/日、3例のみ3.0mg/日であった。嘔気などの内分泌関連症状のため2例、病状悪化のため7例が早期中止した。EE2が4週以上投与できた13例の治療効果はCR/PR/SD/PDがそれぞれ0/4/6/3であり全奏効率は18%(4/22例)、Clinical Benefit Rate(CR+PR+SD)は45%であった。血清E2濃度は投与前15.1pg/mL(平均)から投与後29.1pg/mL(平均)へ上昇し、FSH濃度は投与前42.8pg/mL(平均)から投与後0.8pg/mL(平均)へ低下した。しかしこれら血清E2、FSH濃度の推移と治療効果との間に関連は見いだせなかった。ただし、cPRが得られた症例では、全例本治療の直前のホルモン療法がAIであった。有害事象は3例に乳房痛、2例に子宮内膜肥厚を認めたが、深部静脈血栓症は認めなかった。 【結語】転移性乳癌の内分泌療法においてエストロゲン療法は高い効果が期待できる。一方で内服開始直後の悪心・嘔吐により早期中止を必要とする症例や、病勢が進行する症例もあるためその適応は慎重となるべきである。また、基礎的な報告や本検討から、EE2の効果を高めるためには、AIによりエストロゲン枯渇状態にすることが肝要と考えられた。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:内分泌・ホルモン療法

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