演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

術前化学療法および手術を行い、長期無再発生存中のIVb期胸腺癌の1例

演題番号 : P56-7

[筆頭演者]
松本 順久:1 
[共同演者]
清水 克彦:1、沖田 理貴:1、最相 晋輔:1、保田 紘一郎:1、中田 昌男:1

1:川崎医科大学附属病院

 

<はじめに>正岡分類IV期の胸腺癌の予後は一般に不良であり、確立された標準治療法はない。今回、術前化学療法後ののち上大静脈合併切除を伴う腫瘍の完全切除を行い、長期無再発生存中の進行胸腺癌の1例を経験したので報告する。<症例>症例は64歳男性、顔面の腫脹を主訴として受診した。胸部CTにて左右腕頭静脈および上大静脈浸潤を伴う前縦隔腫瘍を認めた。CTガイド下針生検の結果,未分化胸腺癌との診断を得た。PETにて遠隔転移の所見なく,切除を前提としてまずシスプラチン+ビノレルビンによる術前化学療法を2コース施行した。効果判定ではCT上20%の腫瘍縮小およびPET上FDGの集積低下を認めた。手術は胸骨正中切開に肋間開胸を加え,右肺上葉部分切除、心膜切除、両側腕頭静脈・上大静脈切除、右横隔神経切除、縦隔リンパ節郭清を伴う胸腺胸腺癌摘出術を行った。腫瘍は肉眼的に完全切除が可能であった。血行再建にはリング付きePTFEグラフトを左腕頭静脈-右心耳,および右腕頭静脈-上大静脈間に使用した。病理組織学的には扁平上皮癌、正岡病期IVb期であり、化学療法の効果判定は下里分類でIIaであった。縦隔リンパ節転移陽性であったため、シスプラチン+ドセタキセルを2コース追加した。その後は術後6年を経過しているが無再発で生存中である。<結語>正岡分類IV期の胸腺癌の予後は5年生存率で10%程度とされ、極めて不良である。長期生存を得るためには手術による完全切除が必須条件であるが、近年はこれに加え化学療法や放射線療法の追加にて切除率の向上や予後の改善が試みられている。本症例はPETを含む精度の高い画像診断に加え、術前の化学療法により腫瘍縮小を図り、上大静脈合併切除により腫瘍の完全切除が達成され、長期の無再発生存につながったと考えられる。

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:集学的治療

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