演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

癌性リンパ管症にて発症するも18ヶ月の生存を得た腸型肺腺癌の1例

演題番号 : P56-4

[筆頭演者]
石田 裕嵩:1 
[共同演者]
横田 憲一:1、笹野 公伸:2

1:気仙沼市立病、2:東北大院医病理診断学

 

[症例]66歳男性 [主訴]左下腹部痛・呼吸苦 [既往歴]2009年大腸ポリープを指摘されるも放置.[現病歴]2011年8月左下腹部痛を自覚し近医受診.排便・排ガスなく腸閉塞として当科紹介となった.[現症]腹部は軽度膨隆し左側腹部に腫瘤を触知.呼吸は促迫で,SpO₂91%/PaO₂59mmHgと呼吸不全であった.[X線/CT検査]両肺にびまん性に広がる高度浸潤影を認め,下部消化管造影では下行結腸に全周性の狭窄を認めた.CTでは両肺に気管支血管束と小葉間隔壁の肥厚を認めた.[入院時データ]WBC 9,300 CRP 1.9mg/dl、CEA 23.3 ng/ml、CA19-9 1764 U/mlと異常高値.[内視鏡検査]下行結腸に全周性4型腫瘍を認め,生検にて中分化型管状腺癌と診断.[経過]局所麻酔下に人工肛門を造設.肺病変は診断的治療として抗菌薬を投与するも症状は悪化.気管支洗浄液の細胞診よりClassV/腺癌が検出されたため,臨床的に大腸癌原発の癌性リンパ管症と診断した.PSは3と悪かったが,患者・家族の希望もありFOLFOX4+Bevを施行した.呼吸苦は徐々に軽快し15コース終了時には胸部Xp/CT上完全寛解に近い所見で,通院治療に移行できた.しかし2012年7月に肺陰影が再増悪したため,FOLFIRI+Bevに変更したが2012年12月頃から全身状態の悪化をきたし,初診から18か月後の2013年2月に永眠された.[病理学的検討]患者の死後,本例の癌性リンパ管症が大腸癌によるものかを免疫組織学的に精査した.大腸生検標本では,CK7陰性・CK20弱陽性・TTF-1陰性であったが,細胞転写法を用いた気管支洗浄液細胞診ではCK7/CK20双方が陽性・TTF-1陰性を示した.CK7は大腸癌では陰性であり腸型肺腺癌では全例陽性を示すとの報告から,本例の癌性リンパ管症は大腸癌由来ではなく,重複癌として発症した腸型肺腺癌によるものであると最終的に判断された.[考察]臨床的に癌性リンパ管症にて発症した大腸癌と診断したが,細胞転写法を用いた気管支洗浄液細胞の免疫染色(CK7)にて,癌性リンパ管症は重複癌として同時に発症した腸型肺腺癌による一例を経験した.腸型肺腺癌は,肺腺癌のうち0.6%を占めるにすぎない極めてまれな組織型で,大腸癌肺転移との鑑別が問題になるが,免疫染色が有用で中でもCK7は腸型肺腺癌で全例陽性になるとの報告もあり,本症例でも鑑別診断に極めて有用であった.また癌性リンパ管症にて発症した肺癌症例は予後2か月以内であることがほとんどであり,治療にて18か月の生存を得た症例は稀と考えられ,治療上興味深いと考えられた.

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:化学療法

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