演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

肝細胞癌肺転移切除後19年間無再発の一例

演題番号 : P56-3

[筆頭演者]
相山 健:1 
[共同演者]
神山 俊哉:1、横尾 英樹:1、柿坂 達彦:1、折茂 達也:1、若山 顕治:1、敦賀 陽介:1、蒲池 浩文:1、武富 紹信:1

1:北海道大学大学院 消化器外科学分野I

 

[はじめに] 肝細胞癌は化学療法の効果が乏しく、肺転移に対しても切除可能な症例を選択すれば比較的良好な予後を得られる(nakagawa et al, J Thorac Cardiovasc Surg. 2006)。今回我々は、肝細胞癌肺転移切除後19年間無再発で生存中の症例を経験したので報告する。[症例]症例は62歳(現在)の男性で、1991年右季肋部から側胸部にかけての激痛を主訴し病院を受診した。B型肝細胞癌破裂と診断されTAEにて止血後、肝右葉切除術(PTPE後)を施行した。術前AFPは48859 ng/mlであったが、術後速やかに正常化した。病理は多結節癒合型の肝細胞癌(Edmondson分類II型)、T3(腫瘍数2個、4.5cmと1.8cm、脈管浸潤あり(Vp1))N0M0 pStageIIIであった。術後肝動注療法(ADR+CBDCA )を1年間施行し、その後UFTを内服した。1993年右肺下葉に計2か所転移を認め、胸腔鏡下右肺部分切除術を施行した。術前AFPは432.0 ng/mlで、大きさが11mmと15mmで低分化型肝細胞癌の肺転移であった。術後、UFT内服を再開した。1994年左肺上葉に2箇所転移を認め、胸腔鏡下左肺部分切除を施行した。術前AFPは119.8 ng/mlで、病理は大きさが5mmと7mmで中~低分化型肝細胞癌の肺転移であった。術後UFTを再開し6年間内服した後、半年毎にCTを撮像し経過観察してきたが、現在に至るまで肝内や肺、その他の臓器に再発は指摘されていない。また、腫瘍マーカーも正常値範囲内で推移している。[考察]Nakagawaらは単発でも多発でも無再発生存期間が1年以上で、かつAFP<500 ng/mlの症例であれば5年生存率が74%と非常に良好な結果であったと報告している。また、Chenらは肺転移の腫瘍径が3cm未満であることが肺転移切除後の予後良好因子であったと報告している。本症例も両肺多発症例ではあったが、初回肝切除後の無再発生存期間が2年で、かつ肺切除時の術前AFPはいずれも500 ng/ml以下、いずれの腫瘍径も3cm以下であったことから、予後が期待できる症例であったと考えられる。[結語]適応を限定すれば肝細胞癌肺転移症例においても外科的治療が有効である。

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:手術療法

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