演題抄録

一般演題(示説)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

クリゾチニブの効果発現により、オピオイドが過量となった肺癌の1例

演題番号 : P56-1

[筆頭演者]
山崎 祥子:1 
[共同演者]
吉田 公秀:2、新田 都子:1

1:愛知県がんセンンター中央病 看護部、2:愛知県がんセンター中央病 呼吸器内科部

 

【はじめに】クリゾチニブ開始日に、強い眠気、呼吸抑制の症状が観察され、使用中のオピオイドが過量となった症例を経験したので報告する。本研究は、患者・家族の同意を得ている。
【症例】50代女性で2011年8月に肺腺癌cT1bN0M1a Stage4と診断。CBDCA +PEM4コースPD 2次治療としてエルロチニブを服用していたが、右胸壁の疼痛が増強しPETで同部位に集積を認めた。45Gy照射したが効果なくフェンタニルパッチ1日型(FP)を8mgまで漸増、レスキューは5回/日程度、メロキシカム、プレガバリンも併用していた。入院しクリゾチニブ開始。翌朝より強い眠気が出現し、呼吸10回/分、SpO297%でプレガバリンを減量した。しかし眠気は改善せず、3日目朝には眠気に加え呼吸8回/分、SpO294%となりオピオイドの過量と判断しFPも漸減、4mgで眠気も改善し、疼痛もNRS:10から2となり退院した。3ヶ月後のCTで肝転移出現ありDTXに変更するが右胸壁軟部組織、胸膜転移は増悪し胸部痛増強。肋間神経ブロックも行うが効果なくオピオイド増量、鎮痛補助薬にて調整を行うが疼痛コントロール不良であった。そこで、クリゾチニブの再投与となったが初回導入時、オピオイドが過量になっているため入院とし、慎重な観察と呼吸抑制時の対応を病棟Nsに指導した。その時点の鎮痛剤はFP8mg、オキシコドン徐放製剤600mg、レスキューは6〜7回/日、ロキソプロフェンナトリウム180mg、プレガバリン150mg、クロナゼパム0.5mg、デュロキセチン20mgであった。初日夕方は眠気が出現したため、オキシコドン除放製剤を中止し、レスキューの1回量も減量して対応したが、夜間呼吸7回/分、SpO293%となり、ナロキソン0.2mgを使用した。その後も痛みと、眠気、呼吸のバランスを観察しながらオピオイドを調節し、FP6mgで眠気も改善し疼痛もNRS10から2〜3となり退院した。
【考察】今回の症例は、クリゾチニブの急速な効果発現により、オピオイドが過量になったと考えられる。クリゾチニブはALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者が適応である。そのため、オピオイド使用中の患者に投与される事も想定され、その導入時には、症状の十分な観察と呼吸抑制時に対処できる体制を整え、調節性のあるオピオイドを使用する事が重要である。

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:緩和医療

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